2連結のうち、片方のみを逆付けとした高圧耐張がいし・足立区と葛飾区限定か その1
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東京都足立区と葛飾区では、昭和35年前後の古い配電設備で、特殊な取り付け手法をした高圧耐張がいしがある。
ここからは特集として、そういったものを紹介していこう。
本題に入る前に、まずは通常の取り付け方の2種類をおさらい。
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塩害を受けにくい内陸部の高圧耐張がいしの取り付け方の基本といえばこの形
溝のある方を電線の引き留め側へ向けるが
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海沿いの地域、もしくは海から10キロ前後離れた地域では、高圧耐張がいしの溝の部分は、海とは逆方向へ向けて取り付けている。
これは、高圧耐張がいしの溝の部分に塩分が溜まらないようにするための対策である。
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そして、東京都足立区と葛飾区では、昭和35年前後に一時期、上記のような取り付け方も普及していた。
これは両方向から吹き付ける塩分が、高圧耐張がいしの溝の部分に溜まらないようにするための対策なのだろう。
これまで色々な文献を見てきたが、詳細は依然として不明である。
ここからは、特に珍しい上記の旧式の取り付け方を特集していく。
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一見はごく普通の自動開閉器装柱に見えるが、一部の高圧耐張がいしは古くから使っているようで、特殊な部分がある。
それは写真左側の高圧耐張がいしである。
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右側が基本である通常の取り付け方であるが(青〇)、左側は古いようで(オレンジ〇)、2個とも高圧耐張がいしの向きを揃えていない特殊な取り付け方となっている。
唯ここは、右側の方も連結部分にカバーがないことから、元は写真左側のような特殊な取り付け方だったことがうかがえる。
(※2014年からは、高圧耐張がいしの連結部分のカバーを省略したものが登場しているが、こちらの写真は2012年撮影だ。)
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それからここは、右側の高圧耐張がいしを支持している2枚のストラップも特殊なものとなっていた。
ここはまるでストラップを省略するかのごとく、高圧耐張がいしが直付けされていたのだ。
このようなストラップは、今回初めて見かけた。
これも旧式で普及していたのだろうか?
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高圧耐張がいしの製造年は、1965年製(昭和40年)に思える。
この年代は、耐塩皿がいしとほぼ同時期であることから、やはりこれは塩害対策のための取り付け方だったようにうかがえた。
なお、がいしの製造メーカーは日本ガイシ製である。
旧製品であるから、エンブレムは今のNGK表記とは違っている。
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続いて、高圧耐張がいしの引き留めクランプカバーの製造年は、1997年(平成9年)とあった。
どうやらこの年代に、1度電線を張り替えたようだ。
それ以前の高圧絶縁電線は、恐らく近代のアルミ線ではなく銅線だったことだろう。
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反対側はこんな感じ!
こちらは少し張力が加わっているためか、支柱が追加されていた。
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重要な役割を担っているのに、高圧耐張がいしは未更新でいいのだろうか
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