D型腕金(Dアーム)の種類(東京電力の電柱編)

ここではD型腕金の種類について紹介していく。

<D型腕金の登場時期と用途>

高圧配電線の引き通しに10号中実がいしを取り付けたものでD型腕金を使ったものが見つかったから、D型腕金も早いところでは、都市型配電が登場した昭和50年代には既に登場していたようである。
通常は、高圧配電線を縦型に配列させたい箇所で使用される。
その他には、D型腕金を使わずに高圧配電線を縦型に配列させるタイプも稀にある。
一方、東京都江戸川区と葛飾区では、上下の幅が狭くなった初期型タイプといえよう初代のDアームなるものも実在している。

<D型腕金のサイズの種類>

以前まではD型腕金というと、普通サイズのものか普通サイズより少し長めのものや、それを半分に切ったものしか実在していなかったのだが、近年では幅広いサイズの種類が登場し
現在のD型腕金のサイズの種類については、小、中(従来の普通サイズ)、大(内部にアームタイがあるものとないものも古いものとして混在)、特大といったものがある。

<がいしの取り付け向き>

がいしの取り付け向きについては、登場初期の昭和50年代は横付けにしてがいしを取り付けるものが主流であったが、平成初期からはがいしを斜めに取り付けることができる専用の金具が登場し、がいしを斜めにして取り付けた仕様のD型腕金が登場した。
なお、これについては両引き留め箇所によるジャンパー線支持用や引き通し用のがいしの取り付け手法に限る。

<小サイズのD型腕金の種類>

小型サイズのD型腕金については、高速道路やモノレール等が配電線のすぐ目の前を通過するような箇所(横に張り出せない箇所)で使われることが多い。

引き通し箇所で使われる小型サイズのD型腕金の例
がいしの取り付け向きが横型で旧型

引き通し箇所で使われる小型サイズのD型腕金の例
がいしの取り付け向きが斜めで最新

小型サイズのD型腕金を使ったものでがいしを横に取り付けたものになる。 小型サイズのD型腕金を使った時に開閉器を取り付ける場合は
後ろ側に普通サイズのD型腕金を取り付けて、そこに開閉器を取り付けているようだ。
両引き留め箇所で使われる小型サイズのD型腕金の例
写真左に三相交流3線式の通常タイプ、写真右に単相交流2線式タイプ
 
ジャンパー線支持の10号中実がいしを取り付ける場合は、その支持地点にD型腕金を追加することがある。
引き留め箇所で使われる小型サイズのD型腕金の例
分岐箇所で使われている小型サイズのD型腕金
両引き留め箇所で分岐をするタイプになる。
分岐箇所で使われている少し改造された小型サイズのD型腕金・レア!
高速道脇で確認されたレアな小型サイズのD型腕金を少し特集
東京外環自動車道わきで見つかった1本の分岐のものであるが、ここは補強のためか、分岐箇所にもう1本腕金が追加されているのがわかる。
同じく東京外環自動車道脇にて、両引き留めのタイプになるのだが、完全に小型のD型腕金はなく、腕金が唯あるのみ。
京葉道の引き込み柱になるが、こちらも似たような角ばった小型のD型腕金が使われている。
その他
数は僅少であるが、中には普通サイズのD型腕金を半分に切って小型化したものを初期型として使っていたところもあったようである。
(神奈川県内を通る国道246号沿いにて確認した。)

<普通サイズ(中)のD型腕金の種類>

昔から使われているのがこちらの普通サイズ

<引き通し・両引き留め箇所で使われる普通サイズのD型腕金>

上下の幅が狭い初期型仕様のD型腕金
上下の幅を少し狭くした、初期型といえよう初代のD型腕金については、東京都江戸川区と葛飾区にて発見済みだ。
引き通し箇所で使われるD型腕金の例
がいしの取り付け向きが横型で旧型
引き通し箇所で使われるD型腕金の例
がいしの取り付け向きが斜めで最新型
変流器内臓がいしを斜めに取り付けたものでもD型腕金は実在!
両引き留め箇所で使われるD型腕金の例(開閉器付きも含む)
 
両引き留め箇所で使われるD型腕金についても、ジャンパー線支持の10号中実がいしが横についていれば、それは古いものになる。
クランプがいし斜め付けの近代のD型腕金・正面より
 
取り付けミスのないよう、D型腕金の上部のアール付近には、「上」との印字も確認できる。
ここで取り付けミスをしてしまうと、逆さになるような形で斜めにクランプがいしを取り付けることになってしまうからだ。
<<その中でレアなタイプ>>
最上段のがいしのみ縦づけ
何のためのものなのかよくわからないが、最上段のがいしのみD型腕金の上に取り付けたものも一部地域で確認できた。
近年は廃止
全てのがいしを縦づけ
D型腕金の本来の用途は、配電線を縦型に並べることだが、場所によっては稀に、水平配列にしているものを見かけることがある。
架空地線支持用の腕金が付属のD型腕金の例
 
引き通しによるがいし横付けの旧型とがいし斜め付けの最新タイプの例
  
耐張がいしによる両引き留めタイプの例
架空地線支持の腕金は少し長いタイプも稀にある。

<分岐仕様>

分岐仕様のD型腕金・1世代
D型腕金・角型タイプ
分岐箇所で使われるアールの部分を切り取り分岐箇所を頑丈に真っ直ぐにした角型のD型腕金
D型腕金・角型タイプ
分岐箇所で使われる普通のD型腕金をアールした箇所で切り取り、分岐部分を真っ直ぐに揃えた特殊なD型腕金の例になる。
なお、2000年代に入ると、これとは少し違った形状のものが分岐箇所で使われるD型腕金の主流となった。
クランプがいしによる引き通し箇所で使われるのを見るのは、かなりの稀である。
後他に多そうなのは、東京都奥多摩町や山梨県の小菅村などの山道沿いである。
D型腕金・角型タイプで開閉器付き・レア!
分岐仕様のD型腕金・2世代
(現在主流の角型のD型腕金)
D型腕金・角型タイプ
クランプがいし斜め付け仕様
アールがある普通のD型腕金の使用は取りやめ
各パーツを組み合わせてできた角型のD型腕金が分岐箇所で使われる主流タイプとなっている。
同じく張力の関係か、引き通し箇所で使われることも稀に
D型腕金・角型タイプ
クランプがいし縦付け仕様
最新の角型タイプでがいし縦づけタイプも実在するが、数は少ない。
小型サイズのD型腕金で分岐仕様
ほとんど見かけないが、小型サイズでも一応分岐仕様が実在している。
おまけ
東京都練馬区では、分岐仕様で水平腕金とD型腕金を合体させたようなレアものも確認!

<少し大きいサイズのD型腕金の種類>

古いものでは、少し大きいサイズのD型腕金も普及していた。

引き通し箇所で使われる少し大きいサイズのD型腕金
これより大きいサイズのD型腕金は、腕金の内部に縦型の腕金を取り付けるが、普通サイズよりやや大きくなったD型腕金には、そのような補強材はなかったようだ。
普通サイズ(写真右)との比較

<大きいサイズのD型腕金の種類>

続いて、普通サイズよりやや大きめとなった、大きいサイズのD型腕金を紹介する。

引き通し箇所で使われる大きいサイズのD型腕金
内部の補強材は、腕金か斜めに固定されたアームタイのような部材で補強する2種類あり
がいし横付けの旧型の例
両引き留め箇所で使われる大きいサイズのD型腕金
高圧配電線の分岐箇所で使われる大きいサイズのD型腕金
開閉器を取り付けた箇所で使われる大きいサイズのD型腕金
両引き留め箇所で使われる旧型の大きいサイズのD型腕金
旧型のものは、内部に補強材がない。
同種については、他にはD型腕金の上枠に高圧耐張がいしを取り付けるなど、色々な使われ方があったようだ。

<特大サイズのD型腕金の種類>

特大サイズのD型腕金は言わば、普通サイズのD型腕金を2つ合体させたような形となっている。

引き通し箇所で使われる特大サイズのD型腕金
 
最新の斜め付けと旧型の横付けの例
架空地線支持用の腕金が付属のD型腕金の例
 
架空地線支持用の腕金は小さめのものと大きいものが混在
<<その中でレアなタイプ>>
特大サイズのD型腕金だが、分岐部分を頑丈に補強したタイプ
特大サイズで見かけることはほとんどない。
方向転換箇所で使われる特大サイズのD型腕金
変わった用途で使われるD型腕金 その1
特大サイズのD型腕金を使ったタイプなのに水平配列となった珍しいタイプになる。
偶にこういった用途で使われる光景も見かける。
変わった用途で使われるD型腕金 その2
こちらは、特大サイズのD型腕金を使っているというのに、腕金をさらに継ぎ足し、伸ばしている。

<超特大サイズのD型腕金の種類>

両引き留め箇所で使われる超特大サイズのD型腕金
両引き留めかつ分岐箇所で使われる超特大サイズのD型腕金
<こちらは角型タイプ>
見かける頻度は極めて少ないが、少なからず、特大よりも大型のD型腕金を使ったものが普及している。

<地域限定のDアーム>

高圧と低圧が一体型の縦長のDアーム
飯能には、高圧と低圧を縦長で揃えた一体型の地域限定のDアームがある。

<D型腕金・新旧の違い>

新旧のものでは、アールの部分にわずかな違いがある。
旧型のアールは、少し長くなっているのが特徴だが、新型のものはアールの部分が短くなっている。

旧型のD型腕金 新型のD型腕金

<D型腕金の大きさ・他の考え方>

D型腕金の大きさについては、他には以下のような考え方もできる。
大きさについては、全種類で6種類あり、10等分できる。
一番左側のものを1等分と考えると・・・

見たところでは、1等分の一番短いサイズは比較的新しいもので、2等分のものが昔からあるものになる。
しかしその2等分のものに関しても、当初からあまり普及していたようには思えず、普通サイズである4等分が基本だったように思えた。

<その他>

D型腕金で変わったタイプやD型腕金を使わない縦型装柱などを紹介!

離隔腕金に見せかけたものでD型腕金を使ったタイプ
こちらは東京都北区を通る環七通りで、街路樹との接触防止用として確認
見かけることは全くない。

開閉器装柱でも確認
離隔腕金に見せかけたものになるが、何時もの水平配列ではなく縦型配列となっている。
唯単にD型腕金だけでは木々と接触してしまうから、D型腕金からさらに腕金を伸ばした結果、離隔腕金に見せかけたものに変化したのだろう。
手作り仕様のD型腕金!しかも2連!!
東京都奥多摩町を通る日原街道沿いには、なんと!手作り仕様のD型腕金が見つかった。(高圧用は大変珍しい。)
しかも、多摩地区はクランプがいし2連タイプが比較的多いことが関係しているのか
D型腕金なのにもかかわらず、がいしと腕金は2つずつ取り付けられていた。
<<D型腕金を使わない縦型配列>>
中にはD型腕金を全く使っていない縦型配列の配電柱も存在する。
これは主に埼玉県内で旧式のものとして普及していたようだが、普及率はかなり低かったようであり、見かけることはほとんどない。
(なお、中部電力や東北電力等では、主に豪雪地域で使うことが大半のようである。)
普及時期は昭和40年代後半〜昭和50年代前半頃かと思われ、種類については、スケルトン金具と傾斜付きのミニアームを使用したものがある。
後者については、薄い傾斜付きのパネル状のものを2枚で一組にさせているのが特徴である。
2枚ストラップを固定した高圧ラックを、バンドの裏型に挟んで引き留め
スケルトン金具・横に一直線型

この種のものは、群馬県で多く普及していたようであるが、東京都内でも場所によっては見つかる。
スケルトン金具・片側に傾斜あり仕様

金具の上側を傾斜にして、ジャンパー線支持の10号中実がいしを取り付けた例

金具の下側を傾斜にして、ジャンパー線支持のクランプがいしを取り付けたものである。
2つの金具については、高圧耐張がいしより上か下かにジャンパー線支持の高圧がいしが来るかどうかが関係しているのかと思われる。
なお、金具の種類については、少し形状が違うのが見て取れる。

傾斜付きのミニアーム

傾斜付きのミニアームについては、埼玉県内の木々が集中している山岳部で少なからず見かけたが、同県JR武蔵野線の新座駅北口の未開発エリアでも見られた。
結論を出せば、D型腕金を使って張り出せないような箇所で見かけている。
しかし、現在は新設はしていない。

傾斜付きのミニアームをそれぞれ1つずつ取り付けて、縦型配列化した配電線の例 その1
ジャンパー線支持用途で
傾斜付きのミニアームをそれぞれ1つずつ取り付けて、縦型配列化した配電線の例 その2
こちらは、普通のクランプがいしによる引き通し用途で
傾斜付きのミニアームをそれぞれ1つずつ取り付けて、縦型配列化した配電線の例 その3
同じくクランプがいしによる引き通し用途で
(※新座駅北口にあったが、現存はしていない。)
ミニアームの断面は、かなり薄い。
ラックのようなもの

斜めにして固定されたラックに10号中実がいしのボルトを差し込んで固定したもの
これまた種類が豊富で、中には単純に、低圧ラックで使われるようなコ型の金具をジャンパー線支持の10号中実がいしを固定するのに使う場合もあるようだ。
唯、これについては、埼玉県の新三郷で見かけたぐらいで、他の地域では見た例がない。
構造としては、前項で紹介した2枚ストラップを固定した高圧ラックを、バンドの裏型に挟んで引き留めと似たような構成である。
唯、強度としては、少しあまい感じがある。
(低圧ラックとは:低圧引き留めがいしを固定するのに使われるものである。)
スリップンがいしを取り付けるための金具

スリップオンがいしを取り付けるために使われる特殊な金具

本来の用途から外れた、普通の10号中実がいしやクランプがいしでも、この特殊金具は使われる場合がある。
高圧引き下げ線を電柱に沿って引き下げたい場合、もしくは低圧のみ、低圧引き込み分岐箱を使用した三相4線式の都市型配電では、スリップオンがいしを取り付けるための金具を使用する場合もある。
スリップンがいしなどの種類については、これより先のページで掲載しているがいしのページを参照されたい。

その他・上部の継ぎ足し等の種類へ

ゴロンディーナーの電柱ファイル トップに戻る

ゴロンディーナーの電柱趣味! トップに戻る

※当サイトは各電力会社・その他の企業とは一切関係ございません。

※当サイトの内容、文章、画像等の無断転載・無断使用は固くお断りします。
最近、当サイトに掲載中の画像が個人ブログやYahoo知恵袋等へ無断転載される事案が多発しています!!
無断転載は完全な著作権侵害となりますから、必要な方は必ず当サイトメールフォームよりご連絡下さるようお願い致します!
(当サイト内の内容をスマホやPCでスクリーンショットをして、それを公衆掲示板やツイッター等のSNSに投稿する行為も同様です!!固くお断り致します。)


inserted by FC2 system