Fアーム等、離隔腕金の種類(東京電力の電柱編)

ここではFアーム等の離隔腕金の種類ついて、初代物から紹介していく。
まずは、Fアームの説明から!

<Fアームについて>

Fアームは配電線を建物から離隔させたい箇所で使われていた。
既にFアームの次世代版が登場しているから、現在主流のものとは言えなくなってしまったが、Fアームの形を写真で表すと以下になる。


立ち並ぶFアーム

形状的には漢字の「七」にも見えがちだが、ひっくり返すとちゃんと小文字の「f」に見える。
また、Fアーム自体にはしっかりと「Fアーム」の印字が確認できることから、Fアームであると言える。


↑証拠はこちら!
Fアーム本体の腕金に書かれている「Fアーム」の印字
しかし、中には書かれていないものもあり。

<Fアームの登場時期と初代のものについて>

Fアームの登場時期については、初代がまず東京都内のオフィス街を中心に、1965年(昭和40年)前後に登場していたようであり、幅が広めの腕金を組み合わせて作られた手作り仕様のFアームがある。
これが初代のFアームとなり、東京都内はもちろんのこと、その他に千葉県、神奈川県といった広範囲でも使われていたところがあり、まだ残っているものを稀に目にすることがある。
その後は、それよりも一際腕金を小さめにした幅が狭い手作り仕様のFアームが登場し、現在でも神奈川県の至るところを中心に、古いタイプとして見かけることがたまにある。
続いて、1980年(昭和55年)頃になると、今度は高圧配電線と低圧配電線をバランスよく支持することができる専用のFアームが登場した。
(現在のクランプがいしが登場する前の姿をネット上で確認したため、既にこの頃には登場していたものかと推測される。)
Fアームについては、高圧のみ支持できるタイプと高圧と低圧の両方を支持できるタイプの2種類がある。
そしてその後は、2003年(平成15年)頃になると、Fアームの次世代版として、現在主流である高圧離隔装柱用腕金が登場したといった感じである。
唯、こちらは旧Fアームとは違い、高圧のみしか支持することができない。
現在は国道沿いなど、どこでも急速に増えた。
文章だけではわかりにくいので、初代のFアームから写真付きで説明していこう!

<初代のFアームを紹介!>

(第1世代のFアーム)

1965年(昭和40年))前後に登場したと思われる初代のFアーム

初代のFアーム
幅が広いタイプ
1回線タイプ
錆具合から、1960年代から残っていると推測される初代のFアーム
(2009年まで東京都台東区の東上野にあったが、現存はしていない。
ここには大量に残っていた。)
1回線タイプ
低圧線を支持できるスペースがしっかりとあるタイプ
<<2回線同時併架タイプ!!>>
千葉県のみで確認!
台東区の東上野に残っていたものは中でも錆が激しく
こちらは恐らく、昭和40年前後の当時物かと思われる。
種類は都内のオフィス街によくあったと思われる、幅が広いタイプとなっていた。
都内は幅が広いタイプの普及率が高かったようで、見かけることが多い。
低圧線の支持方法については、動力用腕金が中腹部の腕金に固定されているものがある。
千葉県で発見した、珍しい2回線同時併架タイプになる。中々見ることはできない。
都内で見たものと比較すると、内部の腕金の組み方が少し違うことがわかる。

初代のFアーム
幅が狭いタイプ
幅が少し狭い簡易型の初代のFアーム
神奈川県内ならどこでも
幅が少し狭い簡易型の初代のFアームで
腕金とがいしが2連になったもので
東京都品川区と大田区限定
神奈川県で古いタイプとして見かけることが多い。
都内で見かけることは逆に少ない。
幅広の簡易版として腕金の本数を少し減らした幅狭が登場したとも言えそうだ。
数は普通のものより極端に少なくなるが
がいし2連タイプもある
東京都大田区では内部構造を少し変えた別物が確認できた。
写真のものは東海道新幹線の車窓から
唯一、確認できる初代Fでもあった。(現存していない。)
こちらも神奈川でよく見かけるものとは
内部の腕金の組み方が違う。

<Fアームを紹介!>

(第2世代のFアーム)

初代のFアームに次ぎ、1980年(昭和55年)頃から登場したのがこれである。
普及数が多かったから、まだまだ色々な場所で見かけるが、新設はされていない。

Fアーム
1回線タイプ
Fアーム
低圧の併架・可
Fアーム
低圧の併架・不可
Fアームで高圧と低圧の両方を支持できるタイプになる。 一方でこちらは耐張がいしによる
両引き留め箇所で使われたFアームになる。
高圧用腕金には珍しく、黄銅色のカバー付きの避雷器がある。
低圧併架ができないものは
国道沿いの歩道橋を超える箇所で確認できることが多かった。
珍しく耐塩高圧引き下げ線支持がいしが
取り付けられたFアームになる。
2回線タイプ
Fアーム
低圧の併架・可
Fアーム
低圧の併架・不可
平成初期は国道沿いなどに多かったです。 国道4号線沿いで歩道橋を超える箇所で
架空地線支持用の腕金なしで・2回線同時併架タイプ
低圧線の併架ができるものとできないものとのセットで
<<その他・色々>>
低圧も支持できるFアームだが、架空地線と高圧線しか通っていない、レアなFアーム
支線を張るために、低圧用スペースを設けたとしかいえないFアームである。
一方こちらは、架空地線はやり出し(片寄せ)したもので、低圧部分には接地側電線のみが通るものである。
Fアームで架空地線をやり出しとしたものは、埼玉県の草加市周辺で見かける。
Fアームを使ったもので、2回線から1回線へ!
上段に自動開閉器を挟み、2回線から1回線に変更しているタイプで
本線側、交差側どちらもFアームでダブルFアーム!!
偶に見かける。
腕金を継ぎ足すFアーム

継ぎ足した部分をワイヤーで補強したタイプ

アームタイや腕金を継ぎ足しまくったFアーム
電線が届かない箇所では、稀にFアームに腕金を継ぎ足すこともあった。
腕金を継ぎ足すFアーム・こちらは低圧用のもので
看板と接触しそうになったため、急きょ低圧用腕金のみ腕金を継ぎ足したFアーム
幅が少し広いFアーム
高圧、低圧支持可能なタイプで 高圧のみ支持可能なタイプで
Fアームは、自由自在に電線の配列を変えることもできる。
Fアームなのに、こちらは珍しく三角配列

腕金を上下に2本取り付けることで、三角配列に変身↑

場所は沿岸寄りの地域
静岡県の伊東市である。
海から吹きつく強風で、電線どうしの接触を防ごうとしたものだろうか

Fアームなのに、縦型配列の高圧配電線を支持

普段は高圧を支持している水平の腕金を全て取り外せば、縦型配列に変身することもできる。↑

かなり稀だが、Fアームで縦型配列の高圧配電線を支持するものもある。
今のところは、埼玉県内でしか見かけていない。

開閉器がFアームの外(高圧用腕金)に取り付けられたタイプ

<そして、Fアームの次世代版!離隔腕金(高圧離隔装柱用腕金)について>

形的にはこれはFアームとは言えないが、一応Fアームの第3世代に当たるものがこれとなり、現在主流のものとなっている。
なお、これまた前期品(初代)と後期品(2代目)がある。
このうち前期品は、離隔腕金用の縦幅の狭いDアームに水平腕金を追加、後期品では、最初からそれらが合体しているものとなっている。
なお、離隔腕金でも電線の長さが足りなくなってしまう場合は、特大サイズのD型腕金に水平腕金を追加して、合成離隔としたものもある。

離隔腕金は高圧のみの支持となる。

離隔腕金はFアームの次世代版として、2003年頃から急速に増え始めた。
今ではどこでも目にすることができ、あっという間に主力の腕金となってしまった。
国道沿いといった大通りでも、結構後からこのアームに交換された箇所を多く確認している。
なお、この腕金については、従来のFアームのように高圧、低圧の両方の支持はできないため、低圧の支持をする場合は別の専用の低圧用腕金が必要になるようだ。
名称については特に、従来のFアームのような明確な名称はなく、唯の離隔腕金といった形になるようだ。

なお、離隔腕金も前期品であれば、Fアームのように「リカク」とカタカナで書かれたものを確認している。

<中には、前期品の離隔腕金で使っていた高圧用腕金を直接コン柱に取り付けるものもあり。>

離隔腕金の中には、初期型の離隔腕金の水平部分で使われている高圧用腕金を直接コン柱に取り付けるものも確認している。
しかし、こちらは普及率は全くなく、あまり見かけない。
多く見かけたのは、東京都江東区の砂町銀座ぐらいである。

初期型の離隔腕金
(縦幅が小さいD型腕金と水平の腕金が分離したものを合体)
1回線タイプ 2回線タイプ
2003年頃から登場した初代の離隔腕金は、縦幅が少し狭いD型腕金に水平の腕金を追加したものが特徴となる。
なお、これに組み合わせてあるD型腕金については、次ページで紹介する普通のD型腕金とは種類が違うものになる。
当然のことながら、これは高圧支持のみのタイプとなるため、Fアームのように同時併架にはせず、1個ずつ離隔腕金を取り付けて2回線化しているのがわかる。
現在主流の離隔腕金
(元々縦幅が小さいD型腕金と水平の腕金が合体されている。)
1回線タイプ 2回線タイプ

Fアーム時代は2つを合体させていたが、離隔腕金の場合は2つを合体させていない

分岐はこの通り
近年では初めから、D型腕金と水平の腕金が合体されたものが主流となっている。
避雷針代わりとなる腕金は別に取り付けられている。
離隔腕金で腕金の外側に自動開閉器付き
 
離隔腕金は開閉器を外側に取り付けても傾きに耐えうる頑丈の構造のようだ。
離隔腕金でねん架をするタイプ
離隔腕金では支持できないため、旧来のFアームを新設したもの
自動電圧調整器付きのものになる。
ここでは新型の離隔腕金だと電線の長さが足りなくなってしまうためか、2008年時点の新設としては珍しい、Fアームを使用
Fアームの次世代版となる離隔腕金とFアームとが同時に取り付けられた珍しい例
こうしてみると、離隔距離は従来まで使われてきたFアームよりも少し長いことがわかる。
これにて!これまで使われていたFアームの新設は完全に停止され、今後は離隔腕金に移行された。
唯、既設のFアームを慌てて次世代版の離隔腕金に更新するといったことはないようだ。

<離隔腕金で足りない箇所では>

離隔腕金を取り付けても電線が届かない箇所、もしくは離隔腕金よりも配電線を建物から離隔させたい箇所では、特大サイズのD型腕金に水平の腕金を継ぎ足すこともある。
2010年代の初めに色々な地域で普及しているが、普及率は普通の離隔腕金並にはない。

特大サイズのD型腕金にFアーム用の高圧用腕金が継ぎ足された

普通の配電線の支持で使われる特大サイズのD型腕金にFアームで使われる高圧用腕金が継ぎ足されたタイプになる。
離隔距離は明らかに普通の離隔腕金よりも長いことがわかる。
特大サイズのD型腕金に普通サイズの高圧用腕金が継ぎ足された例

特大サイズのD型腕金に普通で使われる高圧用腕金が継ぎ足されたタイプになる。
登場初期は珍しいものだと思っていたが、色々な地域で新設された箇所があったようだ。

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