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高圧がいしの種類(東京電力の電柱編)

まず初めに

がいしとは、電線を流れてきている電気を電柱に漏電することがないよう、電線と電柱とで絶縁すると同時に、電線が風で外れぬよう支持する役目を持つ。詳しくはこちらをご覧ください。

<がいしにある赤い線引きについて>

高圧がいしに赤色の釉が施されている理由については、低圧用との見分けをつけること、ゆえに高圧用であることを示すため、赤色の線引きがある。
しかし、近年では高圧は必ず低圧の上部に来ることや、高圧がいしは低圧用より大型ですぐに見分けができること等が関係しているのか、この赤釉を省略し、販売するメーカーも増えてきている。

<がいしの塩害と耐塩がいしの必要性について>

外にあるがいしは当然、海から飛来してきた塩分や空気中に含まれる埃等ががいしの表面に付着して溜まっていく。
その状態で雨が降ったり霧が発生したりすると、その塩分や埃に湿気が溜まり、がいしの絶縁が大幅に低下して放電を引き起こす。
そうなると、がいしを破壊したりその他の設備を壊したりして、塩害事故が発生することが多々あった。
そういったことを防ぐため、海に近い場所では塩分が溜まりやすい溝が低いがいしを使うことを取りやめ、塩分が溜まりにくい深溝構造となった耐塩型のがいしを使う必要性があった。

それでは、新しいものから廃止済みの古いものまで、がいしを図鑑形式で掲載したいと思います。
まずは、高圧配電線を引き留める耐張(たいちょう)がいしからの紹介です。
なお、途中に登場する私物のがいしはすべて、電材店等から購入したものになります。

高圧配電線の引き留めをする配電用がいしの種類(東京電力の電柱編)

高圧配電線の振り分け引き留め、両引き留め、引き留め、分岐箇所に使われる高圧耐張がいし(たいちょうがいし)の種類

高圧耐張がいし周りの各部名称

高圧耐張がいしは2枚のねじれストラップによって支持される。
また、その先端には引き留めクランプが取り付けられており、その金具によって電線が引き留められている。
なお、その引き留めクランプに噛ませてある部分の絶縁電線の被覆は切られており、低圧の作業をする際に危険であるから、充電部保護目的として、黒色の引き留めクランプカバーが取り付けられる。
また、以前は高圧耐張がいしの連結部分にも黒のカバーがあったが、それについては平成25年から取り付けが省略されている。

高圧耐張がいし

↑電線の引っ張りに耐えることから高圧耐張がいし!

配電柱の移設などで電線の長さが足りなくなってしまった場合は、2連結以上で使用する場合もある。
高圧耐張がいしは、高圧配電線の引き留めで使われる高圧がいしである。
1960年(昭和35年)に登場した。
取り付け個数については、現在は2連結を基本としているが、登場初期には1個のみの使用もあった。
これについては高圧配電線の配電電圧による。
昔の3300Vの高圧配電線では1個ずつ、その後の現在の6600Vの高圧配電線では2個ずつ使用している。
なお、これはごく稀ではあるが、高圧配電線の長さが足りなくなってしまった場合については、4連結にする場合もある。

1960年(昭和35年)製の高圧耐張がいし
日本ガイシさんの製造品である。

内部の構造については、引き留めクランプを取り付けるピンがセメントで固定されている。
また、塩害地域では、海から飛来した塩分がこの部分に溜まらぬよう、ヒダの部分を海側とは逆に向けて取り付ける。
他には傾斜などで雨水がヒダの内部に溜まらない場合に逆付けとする場合もある。
なお、その他の高圧耐張がいしの詳しい取り付け向きについては、こちらで紹介している。

耐塩高圧耐張がいし(たいえんこうあつたいちょうがいし) その1

千葉県銚子市にある高圧がいしの試験設備で見かけた、耐塩高圧耐張がいしの使用例
基本的には、この種の高圧耐張がいしは、本州で見かけることはない。
離島で使われることが多い。

塩分を含んだ風を避けるため、ヒダの前に防塩板を取り付けている。
東電管内では、2連結のうち電線の引き留め箇所に近い方のみ耐塩高圧耐張がいしを使用している。

こちらはコレクションのまた別の種類となる耐塩高圧耐張がいし
普通の高圧耐張がいしにそのまま磁器製の防塩板を取り付けるものもあるらしいが、中にはこのような、外見を少し違う構造としたものもあるようだ。

なお、この仕様については、東電管内での使用は確認できていない。
これはまたどこか別の電力会社の規格用に製造されたものであろう。
沖縄電力で使われる規格品と思われる。
塩害が著しい離島では、普通の高圧耐張がいしで向きを変えるなどしても塩害を抑えきれないため、2連結の内、片側に耐塩高圧耐張がいしを使う。
ご覧の通り、ヒダの部分に防塩板を取り付けて、そこに海から飛来した塩分が溜まらないようにしているのが耐塩高圧耐張がいしになる。
また、これが登場する前は、防塩板の代わりに耐塩皿(たいえんさら)を取り付けた仕様も一部地域で普及していた。
耐塩高圧耐張がいし その2

これについては大型仕様もある。
本州では千葉県館山市の最南端付近で確認している。

中実高圧耐張がいし(ちゅうじつこうあつたいちょうがいし)

平成初期頃に、主に塩害地域や長期無保守で使用したい内陸部で一時期普及していたが、2個ずつ取り付けた普通の高圧耐張がいしよりも高価なため、近年では普及していない。
唯、取り付けについては、中実高圧耐張がいしの方が容易である。
このがいしはアルミ線と銅線のいずれの引き留めに対応している。

その他の高圧耐張がいし

特殊高圧耐張がいし
小規模な川の横断時や長いスパンなど、ある程度強度が必要な高圧配電線の引き留めで使われる。
懸垂がいし(けんすいがいし)
大規模な川の横断時は、送電線の鉄塔で使われる懸垂がいしを使うこともある。
懸垂がいしのサイズは、66kV(6万6千ボルト)の架空送電線路で使われる254mmで、ソケット形状はクレビス型である。
この場合、クランプも送電線で実際に使われているものとなる。
なお、クランプは送電線用になるから、その部分だけは電線の被覆を剥いで裸電線としている。
フランス製の青色の懸垂がいし
元々はこれは上信線という架空送電線の支持で使われていたものであったが、高圧配電線でも周辺景観への意識対策か(撮影地は昇仙峡)
もしくは試験的導入だったのだろうか、普通の高圧配電線の引き留めと両引き留め箇所で確認できた。

高圧耐張がいしの引き留めクランプカバーの種類

カバーはがいしではないが、これは高圧耐張がいしとのセットで使われることが確実であるから、一緒に紹介させていただく。
引き留めクランプによって高圧配電線を引き留めている部分の絶縁電線は被覆が剥いであるから、作業時は危険が及ぶ。
その充電部の保護目的として1973年(昭和48年)頃から登場したのがクランプカバーである。
引き留めクランプの形状については、使われる電線の種類によって違っており、アルミ線はアルミ線用、銅線は銅線用で種類があるから、電線の種類が違うとカバーの種類も異なる。
(※高圧配電線で使われる絶縁電線については、古いものでは銅線がある。また、近代主流のアルミ線については、東電管内では東電グラフによれば、昭和41年(1966年)には登場していたようである。)
なお、連結部分の黒いカバーについては、2013年から取り付けが省略されている。

<銅線とアルミ線の違い・外見>
水色が昔っからある銅線を使った高圧配電線
黄色が昭和41年より登場した近代のアルミ線である。
使われる電線の種類によって、高圧耐張がいしの先端にある引き留めクランプカバーの種類が異なる。
アルミ線用カバー 銅線用カバー

昭和50年代

 

昭和60年代〜平成10年代
通常用と逆付け用(写真右側)

平成20年代

新旧混じったもの(上から2つめが新型)

逆付け用のカバーであるが、平成22年には、がいしの部分を覆いつくしたものが登場した。

銅線用のカバーは、昔からこの形である。

逆付け用
昭和と平成では若干、カバーの形状は違っている。
逆付け用カバーについては、がいし自体を多い隠すものが2010年より登場している。
引き留めクランプの充電部保護目的として最初に登場したのが、こちらの銅線用カバーである。
アルミ線用のカバーよりも長くなっているのが特徴である。
こちらについては、形状は当時から変わっていない。
アルミ線用引き留めクランプ 銅線用引き留めクランプ

これも電線の太さや新旧で多少の違いあり。

 

逆付け(右側)

銅線用の引き留めクランプ
架空地線の引き留めでも使われる。

 

 

取り付けイメージ

高圧耐張がいしを支持するストラップの種類

これもがいしではないが、高圧耐張がいしを支持するパーツとしてセットで使われるものであるから、ここで紹介する。
このストラップにも古いものから新しいものまで、種類が複数ある。

普通の高圧耐張がいし用のストラップ 中実高圧耐張がいし用のストラップ

<1960年代>

高圧耐張がいしが登場した1960年代は、尖がるように鋭く長いものが使われていた。

<1970年代>

1970年代に入ると、ストラップが少し短くなった。

<1980年後半から現在>

1980年代後半には、現在主流のねじれストラップが登場した。
ねじらせているのは、雨水が溜まりにくくしているのかと思われる。

<1990年後半から2000年代前半>

短めのものは主に内陸部で使われていた。

長く先端で2枚が重なったものは、主に重塩害地域を中心に使われるが
内陸部でも耐用年数稼ぎが目的で使われることがある。

高圧配電線の引き通しをする配電用がいしの種類

クランプがいし
クランプがいしが登場した理由:配電線の電線を裸電線から絶縁電線に変更してから、落雷時に発生する異常な強い電気の逃げ道がなくなった。
その結果、配電線の断線事故が頻発していた。
そういった事故を防ぐため、昭和の終わり頃、10号中実がいしの上に放電クランプを取り付けたクランプがいしが開発された。
よって、従来引き通し箇所で高圧ピンがいしや耐塩皿がいし、耐塩高圧ピンがいし、10号中実がいしを使っていた箇所については、全てそのクランプがいしに取り換えられ、現在に至っている。
そして、今ではほぼ100パーセント、クランプがいしに交換がされているかのようにも見えるが、10号中実がいしの引き通しであれば、遠く離れた離島や千葉県で未だにその光景を確認できることがある。
なお、このクランプがいしが登場したのは1980年(昭和55年)頃になる。

 

東京電力管内ではもうお馴染みのクランプがいし!
クランプカバーは普通サイズと後から登場した大サイズがある。
左が普通サイズで右が大サイズになる。

今では引き通し箇所だけでなく、引き留め箇所の耐雷化も強化しているようであり、そのジャンパー線の支持にクランプがいしが確認できることもある。
なお、写真のものは既設に新しいものが取り付けられた例となる。
従来の中実高圧耐張がいしのジャンパー線支持のものとは種類が違い、新しい設備で見かける。

私物のクランプがいし
最近の製造品は、高圧がいしであることを示す赤い線引きはない。

放電クランプ本体の拡大
中央にある白丸の中のみ、絶縁電線の被覆を剥いだ裸電線が取り付けられるようである。
その結果、放電できる逃げ道が出来上がるから、落雷時に発生する強い電気が来ても断線被害が減ったわけだ。
東京電力管内ではもうお馴染みのがいし
クランプがいしの構造は、10号中実がいしの頂部に放電クランプが取り付けられており、落雷により過電圧が加わった場合は、放電クランプと腕金との間で放電させることができる耐雷がいしとも言える。
がいしの配列2:1の場合は、両端にあるL型金具との間で放電できる仕組みとなっている。その要領を下記に示す。
クランプがいし設置要領(基本形・各部名称)
(昭和後期から平成初期)

腕金の両端には放電しやすいよう、L型金具が取り付けられる。
クランプがいし設置要領(基本形・各部名称)新規格
(2012年(平成24年)より登場)
L型金具の次世代版となったのか、限流ホーンがある場合は、両サイドのL型金具はない。
限流ホーンはある意味、L型金具よりも放電しやすくするための手助けをしているものかと推測される。
一部、既設のものに限流ホーンを後付けしたものも見られたが、しっかりとL型金具の撤去は行われていた。
(限流ホーンは隣合わせの相で並んでいることも稀にある。)
なお、グランドワイヤーについては、新規格のものについては、高圧配電線の上にグラウンドワイヤーは張らず、腕金やアームタイのようなものを配電柱の最上部に避雷針代わりとして取り付けている。
詳しい説明はこちらで
アークホーン付きクランプがいし
(10号中実がいしとの組み合わせ)

普通のクランプがいしと同様に腕金の端にはL型金具があるが、より放電しやすいよう金具の先端が少し上に向けられている。

放電バーが内向きの場合は、内側に向けて放電金具がある。
普通のクランプがいしとは違い、放電バーを取り付けたクランプがいしも実在する。
一時期、水田や畑道等、雷撃を受けやすい地域で普及していたが、今は新設はしていない。
普通のクランプがいしとの違いは、放電クランプカバーに放電バーがあることだ。
アークホーン付きクランプがいし
(耐塩高圧ピンがいしとの組み合わせ)
以前、耐塩高圧ピンがいしによる引き通しだった箇所からの流用のものだろうか、一部地域では耐塩高圧ピンがいしにアークホーンを付け加えたようなものもある。
スリップオンがいし
(別名(業界用語):PDがいし)
PDとは、Pole Dropの略であり、変圧器への高圧引き下げ線のことを示す。
都心や駅前で見かける普通の都市型配電用
都市型変圧器は大型

スリップオンがいしは、高圧配電線の引き通しやジャンパー線支持用でも使うことができるが、振り分けた腕金に取り付けることもある。
なお、この場合の柱上変圧器は、都市型のものが使われる。

振り分けた腕金にスリップオンがいしを取り付けた例

角型Dアームに直接スリップオンがいしを取り付けて、高圧配電線の引き通しをしている例
変圧器は最近では都市型ではなく普通仕様に取り換えられているところも増えている。
低圧引き込み箱を省略したコンパクト配電用
都市型変圧器はやや小型

低圧配電線のみを三相4線式としたコンパクト配電では、一回り小さめのスリップオンがいしを使用している。

コンパクト配電用のスリップンがいしは、普通の大型の都市型変圧器では使えないようである。
そこはやはり、コンパクト配電用の都市型変圧器と決まっているようであるが

普通の変圧器には対応できるみたいだ。
ここでは高圧配電線の引き通しに使われるスリップオンがいしの例を示すが
柱上変圧器は普通のもので、低圧配電線は三相4線式となっているが、そこは普通の都市型配電でよく見かける低圧引き込み箱付きのものとなっている。

ちなみにだが、スリップンがいしにも赤い線引きがないものが登場している。
スリップオンがいしは高圧配電線の引き通しをすると同時に、都市型変圧器へ向けて高圧引き下げ線を引き下げることができる構造としている。
大きさによる種類は大型と小型のものがある。
がいし型変流器(ICT:Insulator Current Transformer)
Insulator:がいし CT:変流器(ここでいう変流器は、計器に向けて、必要な電流に変換する変流器を示す。)
このがいしは主に開閉器装柱のそばに取り付けられ、高圧配電線の事故探査(過電流の検知)を行っている。
いわば至るところにある高圧配電線路の途中にこのがいしを取り付けて、常時、高圧配電線に異状がないか監視しているのが目的となる。
(実はこのがいしと同様の動作をするものが装置でもある。その装置についてはこちらを参照されたい。)
しかし近年ではこれに換わって、電線に直付けされる過電流表示器(SI)がメインのようである。
この装置については、開閉器装柱そのものに腕金を伸ばして取り付けるか、隣接配電柱の引き通し箇所に施設される例が多い。


高圧配電線の引き通し箇所で使われるがいし型変流器
ここでは、がいし型変流器を使い、電柱の下方にある計器(短絡事故電流通過表示器)に向けて、高圧配電線を流れる大きな電流を必要な電流に変換している。
規定を超える過電流が通過した時のみ、計器(短絡事故電流通過表示器)が点灯する仕組みとなっている。


開閉器装柱に取り付ける場合は、腕金を伸ばして取り付けることもあった。

 

種類はシングルヒダとダブルヒダで2種類あり
規定の電流値を検知した場合のみ動作するものかと推測される。

 

続いて装置(短絡事故電流通過表示器)の内部はこのような感じである。
赤い4つのランプが見えた。

 

比較的最近のものでは12灯式も
こちらの年式は2000年(平成12年)だった。

 

ちなみに登場初期は、単純に1つのランプが点灯するだけのものもあったようだ。
この感じだと、ランプの色は黄色だろうか
がいし型変流器は、高圧配電線の支持をすると共に、配電柱の下部に取り付けられている短絡事故電流通過表示器へ、計器に必要な電流を取り出している。
このp短絡事故電流通過表示器が高圧配電線路に短絡事故電流が検知されると赤く点灯し、故障状況を知らせてくれるようである。
しかし最近ではコストダウンのためか、過電流表示器というものが登場している。
これは高圧配電線に直付けするだけで、短絡事故電流の検知がすることができるもので、従来のものより取り付けもいたって容易である。
動作は同じで、赤く光って事故区間を教えてくれるようだ。
この装置もがいしではないから、本来はこのページに掲載すべきではないが、おまけとしてその取り付け状況も掲載する。

開閉器装柱のそばで直付けされた過電流器表示器の例 その1
(がいし型変流器の次世代機)

電線に直付けされた過電流表示器の例 その2
こちらは特に付近に開閉器装柱はないが、万が一に備え、何処で事故が起きているのか、明確に調べるために取り付けられたのであろう

変圧器への引き下げ線・ジャンパー線(縁廻し線)支持用のがいしの種類

現在の高圧配電線引き通しはクランプがいしが大半であるが、かつてはここから紹介する複数の高圧がいしが高圧配電線の引き通しに使われていた。
なお、現在は引き通しでの使用はほぼ完全に廃止されているようであるが、中実がいしの引き通しに限ってはいまだに稀に見かけることがある。

高圧中実がいし(10号)
高圧ピンがいし、耐塩高圧ピンがいしに代わって、1977年(昭和52年)より大容量の高圧配電線の支持用として登場した高圧がいしである。

以前は高圧配電線の引き通し用として使われていた時代もあったが、現在はジャンパー線支持用として使われるのがほとんどである。
変圧器への高圧引き下げ線支持用でも偶に縦付けの箇所で使われる。

私物の中実がいし
10号中実がいしとも呼ばれるこのがいしは、現在では主に、ジャンパー線の支持用として使われる。
その他は高圧の立ち上がり部分や、変圧器への引き下げ線支持用として使われることもある。
(但し、変圧器への引き下げ線支持用については、上向きに限る。)
名前の如く、中に空洞がないがいしとなっているため、塩害地域でも普通に使われる。
放電クランプと組み合わせれば、クランプがいしとしても成り立つ。
そして、クランプがいし登場前の昭和50年代には、一時期引き通し用として使われていた頃もあった。
なお、お隣の中部電力管内では、現在も高圧配電線の引き通しに耐雷ホーンとリングを組み合わせて、このがいしを引き通しに使っている。
高圧ピンがいし

東電管内の配電柱からは、高圧配電線の引き通し用として使われる高圧ピンがいしは姿を消したが↓、内陸の地域では現在でも、変圧器への引き下げ線支持用として使われ続ける。↑

東電管内の配電柱から完全に姿を消した、高圧配電線の引き通し用として使われる高圧ピンがいしの旧式例
(写真は時が止まった構内用にて)

なお、引き通しのものについては、東電の配電線からは完全に姿を消したと思われるが、ジャンパー線支持用のピンがいしは現役タイプが見つかることもある。

私物のピンがいし

ピンがいしは深溝構造になっていないから、一番塩害を受けやすい、こういったことから1959年頃より、塩害対策のため、後述で紹介の耐塩皿が登場した。
形状は若干当時とは異なるが、昭和初期から高圧配電線のジャンパー線支持、引き通し箇所に使われていたが、現在はその座をクランプがいしに奪われ
内陸部で使われる変圧器への引き下げ線支持用でしか見かけることはなくなった。
中部電力管内でも高圧配電線の引き通し箇所に使うことは全くなくなったが、関西電力管内では現在でも引き続き、このがいしをジャンパー線、引き通し用として使っている。
変圧器への引き下げ線支持用としては全国で主力のがいしと言えるであろう。
高圧ピンがいし(天切りなしの新型)
これは主に横付けされた変圧器への高圧引き下げ線支持専用で、2012年頃から登場している。

近年では、変圧器への高圧引き下げ線支持の専用品として、頂部に従来まであった溝をなくした高圧ピンがいしも登場している。
横付けの高圧ピンがいしは、頂部で電線を固定する必要がなくなったから、今後はこういった仕様も増えてゆくものと考えられる。
耐塩高圧ピンがいし
(耐塩用高圧ピンがいし)

現在はこちらも変圧器への高圧引き下げ線支持用でしか見なくなったが、かつてはこちらも高圧配電線の引き通しやジャンパー線の支持用で使っていた頃がある。

なお、ジャンパー線支持用として使われる耐塩高圧ピンがいしについては、今も東電の古い設備で稀に見かけることがある。
これについては、千葉に多い。

そしてこれは、東電管内の配電柱からは完全に姿を消した、高圧配電線の引き通し用として使われる耐塩高圧ピンがいしの旧式例である。
かつらぎ山の構内用で発見した。

私物の耐塩奥圧ピンがいし
名前のごとく、普通の高圧ピンがいしには適さない塩害地域(対策)を目的とした地域で使われる高圧がいしである。
登場したのは1966年(昭和41年)であり、それ以降塩害地域で使われ始めた。
内部は深溝構造かつ、導体(電線支持点)から塩分が溜まりやすい溝までの表面距離が長いため、塩害対策に対しては抜群な効果を持っているようである。
また、登場後は場所によっては、後述で紹介の耐塩皿を追加して使っていた箇所もあったようである。
用途については、昔はこのがいしも塩害地域でジャンパー線、引き通し用として使われていた頃があったようだが、現在はその用途での使用は廃止されており
塩害地域で変圧器への引き下げ線支持用として使われることがほとんどである。しかし、ジャンパー線支持用のものは未だ古いものとして見かけることが稀にある。
なお、最近では長期無保守、耐用年数稼ぎが目的のためか、内陸部で使っている地域も若干増えてきている。
防塩皿がいし(正式名称不明)

がいしを囲む器が大きいもの

 

がいしを囲む器が少し低いもの
耐塩高圧ピンがいしとの組み合わせも確認できたが、試験中に思える。 (千葉県銚子にある試験的設備で)
これについては、2010年頃に登場した。
なお、確認できる地域については限られており、神奈川県の茅ケ崎市、平塚市辺りの重塩害を受けやすい沿岸に近い場所でしか見ることができないが
試験的設備も千葉県銚子市で見かけている。
この種の高圧がいしは、10号中実がいしの周りを黒い器状のもので囲っているのが特徴である。
新たな耐塩皿がいしの新規格の高圧がいしとでもいうのだろうか
他にはやはり試験的設備によるが、耐塩高圧ピンがいしとの組み合わせも発見している。

廃止された古い取り付け手法をした高圧耐張がいしや、その他、古い高圧がいし特集!

特殊な取り付け方をしている高圧耐張がいし

↓2連結の内、片方は逆付けとした珍しい取り付け手法
昭和35年(1960年)前後に普及していた。

↑東京都足立区と葛飾区では、昭和35年前後の古い設備で、2連結の内、片側のみ逆付けとした珍しい取り付け方法があった。

塩害を防ぐための高圧耐張がいしの取り付け向きの種類については、2種類だけだと思っていたが、東京都足立区と葛飾区では、昭和30年代の古い設備で、こういった取り付け手法をした高圧耐張がいしを確認している。
それがこれだ!2連結の内、片方を逆付けにしている。
しかし!これはあまり知られておらず、当時の文献にも一切こういった記載は全くない。
特殊な取り付け方法となっている。
なお、足立区では古くから残っていた構内用配電設備でさえも、高圧耐張がいしはこういった取り付け方法となっていた!
個人的な推測としては、後述で紹介の引き通し用の耐塩皿(たいえんさら)がいしと製造年も同時期であるから、東西南北、季節風や台風による全方角からの塩分を含んだ風(塩害)を防いでいたものかと思っている。
耐塩高圧引き下げ線支持がいし

東京都東神田や埼玉県の久喜市内等、至る所で、数はかなり希少だが確認した。
高圧CVTケーブルを使った都市型配電線が登場する前は、100kVAや75kVAなる大容量トランスを柱上に取り付けていた頃があり
変圧器への引き下げ線支持用の腕金を取り付けるスペースがなくなったり、大量の引き込み線がそれを妨げたりした時があった。
そういったことを避けるため、コンパクトに変圧器への引き下げ線をまとめながら引き下げることができる、耐塩高圧引き下げ線支持がいしが都市型配電が登場する前の昭和50年代に普及していた。
利点については、形状が筒型でその中に引き下げ線を通す仕様となっているから、わざわざバインド線を使って引き下げ線をがいしに固定する必要がない。
耐塩皿がいし(たいえんさらがいし)
普通の高圧ピンがいし+耐塩皿
がいしの塩害と耐塩皿が登場したいきさつについて
がいしの塩害については、このページの初めでも紹介したが、ここでも紹介する。
外にあるがいしは当然、海から飛来してきた塩分や空気中に含まれる埃等ががいしの表面に付着して溜まっていく。
その状態で雨が降ったり霧が発生したりすると、その塩分や埃に湿気が溜まり、がいしの絶縁が大幅に低下して放電を引き起こす。
そうなると、がいしを破壊したりその他の設備を壊したりして、塩害事故が発生する。
そういった事故を防ぐため、配電線にまだ裸電線が多かった昭和20年代までは、がいしを1個1個洗浄する必要があった。
しかし、1個1個のがいしを洗浄していくのでは、突然の台風の襲来の時には手遅れになる。
その塩害対策として、昭和34年に高圧ピンがいし用に開発されたのが耐塩皿がいしである。
(一部地域では耐張がいしに耐塩皿を取り付けるものも普及していたようである。)
高圧ピンがいしに耐塩皿を取り付け、周囲を囲むことで、塩分を含んだ風から中のがいしを守っていた。

過去の耐塩皿がいしの使用例
ハンガー装柱で変圧器への引き下げ線支持用として使われる耐塩皿がいし

昔は塩害地域を中心に、引き通し、ジャンパー線支持、変圧器への引き下げ線支持用と幅広く使用されていた。

ジャンパー線支持用のものなら、まだ運良く健在なところも・・・

そしてこれはまたもや構内線で見つけた、引き通しとして使われる耐塩皿がいしの旧式例である。

 

耐塩皿の底には4つの水抜き穴があり、植木鉢としての有効活用もできるから、古道具店で中古で売り出されていることもあるが、私はそのような活用はしない。

とりあえず、入手できたのは関東では全くお目にかからない、KOYO製で1964年製(印字が何故か逆さ)と、なんと!有田焼!の香蘭社製で1964年(昭和39年)製であった。
どちらかといえば、東電管内では香蘭社製の耐塩皿も中々見ることはできなかった。それよりも圧倒的に大量に確認できたのは、謎の☆ロゴのものであった。
耐塩皿がいしは、かつての昭和34年〜昭和40年代にかけて、海に近い地域(塩害地域)を中心に、高圧配電線の引き通し、ジャンパー線支持支持用に使われていた。
なお、変圧器への引き下げ線支持用に限っては、縦付けのものに限られていた。
(これは、雨水の跳ね返りでがいしの洗浄効果の期待ができたそうであるから、横に取り付けられてある変圧器への引き下げ線支持のピンがいしや耐塩高圧ピンがいしには耐塩皿は追加されなかった。)
しかし、その後の昭和57年からはクランプがいしや中実がいしといった性能が向上されたがいしが登場したから、引き通し、ジャンパー線支持用は急速に交換されていった。
唯、ジャンパー線支持や変圧器への引き下げ線支持用(上向きのものに限る)のものについては、完全な交換はされておらず、神奈川県の住宅街に残っていることがある。
耐塩皿がいし(たいえんさらがいし)
耐塩高圧ピンがいし+耐塩皿
実は耐塩皿がいしは、普通のピンがいしに耐塩皿を追加するもの以外に、耐塩高圧ピンがいしに耐塩皿を取り付けたものも実在する。
これについては、長期無保守を目的とした地域や重塩害地域で使われていたようである。

過去の耐塩皿がいしの使用例
変圧器への引き下げ線支持用として使われる耐塩皿がいし(上向き)

変圧器への引き下げ線支持用として使われる耐塩皿がいし(耐塩高圧ピンがいし+耐塩皿)の例

過去の耐塩皿がいしの使用例
ジャンパー線支持用として使われる2連の耐塩皿がいし(2連は中々ない)

この種類の耐塩皿がいしも同様に、まだジャンパー線の支持用として残っていることも稀に
そしてこれは、構内用で発見した、ジャンパー線及び引き通しとして使われる耐塩皿がいしが同時に見れる旧式例
昭和の終わり頃までは、まだ東電の配電線でも普通に見ることができたようであるが、平成に入ってからは東電の配電線で引き通しの耐塩皿がいしは見かけた記憶がない。
なお、東電の小規模送電線(山崎線)では、今も唯一といえよう、引き通しで現役の耐塩皿がいしがある。(2013年現在)
耐塩高圧ピンがいしが登場するとほぼ同時に、1970年に入ると今度は耐塩高圧ピンがいしに耐塩皿を追加した耐塩皿がいしが重塩害地区用として、主に配電線のジャンパー線の支持、引き通し箇所に使われていた。
また、これについても、上向きのがいしに限り、変圧器への引き下げ線支持用として使われることもよくあったようだ。
横付けの耐塩高圧ピンがいしに耐塩皿が追加されている例外タイプはこちら
耐塩高圧ピンがいし
(東電管内では旧規格・主に千葉県で普及)

過去の旧規格となる耐塩高圧ピンがいしの使用例
横付けの変圧器への引き下げ線支持用として使われる旧規格の耐塩高圧ピンがいし

今のところ、千葉県内でしか確認はできていない。

過去の旧規格となる耐塩高圧ピンがいしの使用例 その1
ジャンパー線支持用として使われる旧規格の耐塩高圧ピンがいし

ジャンパー線支持用として現役であったものはこの他含めて、たったの3本のみであった。
その他は10号中実がいしに交換済みでも、撤去されずにずっと残っている光景を大量に見かけた。
それが以下のものだ。

過去の旧規格となる耐塩高圧ピンがいしの使用例 その2
ジャンパー線支持用として使われる旧規格の耐塩高圧ピンがいし

確実に以前はジャンパー線支持用として使われていたであろうことがうかがえる1本である。
中実がいしに交換済みだが、それらは撤去されずに今も残り続けているという光景を千葉で数多く確認した。(何だか無意味な交換に思える。)

一応、他の電力会社では使われているところが今でもあるから、現在でも入手は可能。

内部は深溝構造
昭和35年〜昭和40年、千葉県のみでジャンパー線支持、変圧器への引き下げ線支持用として使われていた。証拠写真はこちら
引き通し用として使う場合は、耐塩皿を追加したものであれば、市販の昭和の写真アルバムで確認している。ネット上ではこちらで確認済み(外部サイト)
東京電力管内では旧規格の耐塩高圧ピンがいしとなっており、今のところは千葉県のみでしか確認できていない。(構内用として使われているものは他の地域でも確認済み。)
現在の耐塩高圧ピンがいしと比較すると背丈は低いが、構造は現在の耐塩高圧ピンがいしと同じで、深溝構造となっている。
中部電力管内や北海道電力管内では、現在でも重塩害地域を中心に変圧器への引き下げ線支持用にこのがいしを使っている。
耐塩皿がいし(たいえんさらがいし)
耐塩高圧ピンがいし(旧規格)+耐塩皿

旧規格となる耐塩皿がいしの使用例
変圧器への引き下げ線支持用として使われる耐塩皿がいしの例(上向きに限る)

旧規格の耐塩高圧ピンがいしに耐塩皿が追加されているのがわかる。

旧規格となる耐塩皿がいしの使用例
ジャンパー線支持用として使われる耐塩皿がいし

既に絶滅しているようで、廃止されたものでしか確認はできなかった。
一方で千葉県には、東電管内では旧規格となる耐塩高圧ピンがいしに耐塩皿が追加された耐塩皿がいしも確認された。
用途は同様で、引き通し、ジャンパー線支持用、また、変圧器への引き下げ線支持用としてでも使われていたようだが、こちらについては他の耐塩皿がいしと同様に上向きのものに限る。
中実がいし(6号)
これは昭和45年以降、高圧ピンがいし、耐塩高圧ピンがいしに代わって、主に、大容量の太くなったアルミ線の高圧配電線の支持用として登場!

ジャンパー線支持用として使われる初期規格の6号中実がいし
普通の10号中実がいしと比べてやや背が低めなのが特徴

一方、引き通しでも使われていたようであるが、その手のもので現存していたのは、わずか1箇所のみ

埼玉の蕨にて確認した!

東京電力管内では、この手のがいしは旧規格品となっているため、新設は確認できないが
地方の電力会社では、まだ使っているところがあるから、現在でも一応入手は可能

なお、6号中実がいしには、赤い線引きがないものも実在する。

それが日本ガイシ製造のものである。
こちらは初期型のものでは、赤い線引きが省略されたものがある。
(ロゴを側面に入れてしまうと赤い線引きが入らなくなってしまうため)
このがいしは主に、大容量の太いアルミ線の支持を目的に昭和43年頃に登場した。
用途については、高圧配電線の引き通し、ジャンパー線の支持、それから変圧器への引き下げ線の支持用でも使われていたようである。
使われていた地域は広範囲で、東京都はもちろんのこと、神奈川県、千葉県、他には埼玉県や山梨県でも確認している。
なお、種類については、高圧であることを示す赤い線引きがあるものと、線引きがないものも数は少ないが、実在している
赤い線引きがないものについては、製造年と製造会社のメーカーロゴが側面に印字されたものを見かけたから、その結果スペースがなく、やむを得ず赤い線引きを省略したのだと思われる。
スリップオンがいし(旧規格)

 

登場初期の昭和46年、都市型配電による環境調和ものが登場した際は、薄水色系のものが普及

 

全く見たことがない、レアな三菱製都市型変圧器を取り付けたものでも

その旧型のがいしを使うものが!!
なお、初期型スリップオンがいしについては、全て横付け専用モデルのようであった。
初代のスリップオンがいしは電線取り付け部分が水色をしている。(現在はがいしも大きくなり黒色)
また、よく見てみると、6号中実がいしのようなものも確認できるから、初代物であるということはここからもうかがえる。
現在新設はされていない。

それ以前の古い、昭和初期〜昭和20年代の高圧がいしについては、こちらをご参照下さい。

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