低圧がいしの種類(東京電力の電柱編)

ここでは主に、低圧配電線(低圧動力線200V、電灯線100V、トランスの接地線等)を支持する低圧がいし他、支線の絶縁に使われるがいしなどについて紹介する。

低圧引き留めがいし

東電管内には青色と白色の2種類あり
低圧引き留めがいしは、低圧動力線200Vでは引き留め箇所に使われ、低圧電灯線100Vでは低圧配電線の引き留め箇所、引き通し箇所に使われる。
色の種類は東京電力管内では、白色と青色(緑色)があり、白色は低圧配電線の支持に使われ、青色は接地線の支持の他、電燈需要家なる住宅への低圧引き込み線の引き留め箇所にも使われる。
なお、地方ではとび色(茶色)で動力線200V支持用があるが、東京電力管内では使われておらず、動力線200V用、電灯線100V用の両方で白色のものが共用されている。
色分けがされていないのは、基本、低圧動力線は水平配列、低圧電灯線は縦型配列と決まっているからだと思われる。
(だが、栃木には、動力線と電灯線を混ぜてどちらも縦型配列にした4線式低圧配電線もあるから、そうであるとは明確には言えない。中には全てが縦型配列となったものもある。)

低圧動力線200Vの引き留め箇所に使われる低圧引き留めがいし 白色の例

低圧電灯線100Vの引き通し箇所に使われる低圧引き留めがいし 青色と白色の例
最上部にある架空共同地線(接地線)は識別のため、青色のものが使われる。
なお、この架空共同地線には変圧器の接地線と最上部にある架空地線から降りてきた接地線も接続されている。
動力線200Vの引き留め箇所については、水平配列となった場合は真っ直ぐになったストラップ2枚を上下から低圧引き留めがいしを挟んで使われることが多い。
(但し、5本すべての低圧配電線が縦型配列となった場合はこの限りでなく、低圧ラックが使われる。)
なお、電灯線100Vの引き通し箇所に関しては、電線の配列が垂直配列になっているから、専用の低圧ラック(コの形をした金具)によって支持されることが多い。

遮蔽線3条の引き留め箇所に使われる青色の低圧引き留めがいしの例
接地されているから、接地の意味で青色を使ったのだろうが、他では確認していない。かなり珍しい

拡大写真
青色の低圧引き留めがいしは遮蔽線の引き留め箇所に使われることもある。
また、東京都大田区や神奈川県の川崎市等の一部の塩害地域の古い設備では、架空地線の引き留め箇所での使用も確認しており、それは特に開閉器装柱で多く見られた。
低圧本線と支線がこすり合わぬよう、ガード対策として、こんな使われ方もある。

二溝がいし
二溝がいしは低圧引き込み線の分岐箇所に使われる。稀に低圧引き込み線の引き込み側で使われることもある。
電柱から直接、低圧引き込み線を分岐する場合は、電灯線の低圧ラックに長いボルトを使って固定している。
低圧引き込み線の分岐に使われる二溝がいしの例
二溝がいしの高さによる種類は2種類ある。
この内、背の高い方の二溝がいしを東電管内で見かける。
三溝がいし(別名:多溝がいし)

多溝がいしは、支線を張る際、他の電線を避ける時に使うこともあった。
また、支線用は支線用で別の種類があったように見受けられる。
二溝がいしの他に三溝がいしもあり、3線式の低圧引き込み線の引き込み地点で稀に使われる。
中央の溝が狭くなっているものは支線を張る際、低圧配電線を避ける際に使われる。
玉がいし
玉がいしは、低圧から支線への漏電防止用として、支線の巻き付けグリップ箇所に取り付けられる。
形状による種類については、卵型と四角形のものがある。
卵型の大きさによる種類については、特小、小、中、大と4種類ある。
(なお、上記写真はその内の小、中、大のみとなる。)
支線は電柱を支える際、どうしても必要不可欠なものとなるので、玉がいしは全国規模で見ることができる。

玉がいしについては、古いものでは茶色もある模様
こちらはかつての木製電柱時代に、目立ちにくい意味合いで普及していた感じだろうか
井形がいし(いがたがいし)
これも玉がいし同様、支線の巻き付けグリップ箇所で使われていたが、最近では普及数は大分減ったように見られる。

井型がいし大のもの(製造年:2018年11月)
こちらは2019年9月23日、特別に日本ガイシさんの懸垂がいしの工場及び日本碍子博物館の見学時に、「このがいしは珍しいと思うので、差し上げます。」ということで、特別に頂いた。
なんだかブラタモリで香蘭社の特集をしていた時の体験を味わったような気分であった。^^

井型がいし小のもの

東電では白色のものが普及していたが、私はその中でレアな茶色も所有

低圧ピンがいし 白色
低圧ピンがいしも古いものから並べていくと、小、中、大と大きさは3種類あるが、現在、東電管内では低圧ピンがいし 中が使われている。
なお、用途については、低圧ピンがいし(白色)は、低圧動力線(3本の内2本)の支持に使われる。
同じことを言うが、色についてはこれも低圧引き留めがいしと同様に、白色、青色、地方にはとび色(茶色)もあるが、東電管内ではとび色の低圧ピンがいしは使われていない。
色別による用途も同じで、白色は100Vの支持、青色は接地線の支持、とび色は東電管内では使われていないが、こちらは200Vの支持用となっている。
なお、東電管内では、低圧動力線は水平配列に並べることが基本であるが、接地側電線(架空共同地線)については低圧電灯線100V(垂直配列部分)にあるため、緑色の低圧ピンがいしは引き通し箇所で見ることはない。

低圧動力線の支持に使われる低圧ピンがいし(白色)の例

大きさの種類は3つある。
左側から大、中、小の順だ。
なお、そのうち一番右側のものについては、主に九州電力管内で普及していたようである。
それについては、青い線引きが上下に2本確認できるから、接地側電線で使われていたものかと推測された。
製造年もかなり古く、1956年(昭和31年)製であった。
小さい低圧ピンがいしについては、恐らくその年代で使われていたものなのだろう。
低圧ピンがいし 青色
青色の低圧ピンがいしは、古いものでは、変圧器の接地線の支持で使われることがあったが、近年は数を大きく減らしており、見かけることはほとんどなくなった。

電力会社によっては、緑寄りの色を使用しているところもある。
こちらは主に東電管内で使われていた青色の低圧ピンがいしである。

変圧器の接地線の支持で使われる青色の低圧ピンがいしの例

拡大
変圧器の設置に丸型変台を使用したものでは、ほとんど見かけないが、ここでは珍しく、丸型変台の下で確認できた。

ハンガー装柱でも

一方こちらは、変圧器の更新時に接地線が取り外されたが、今もなお残り続ける青色の低圧ピンがいし
その他・他社設備
低圧ピンがいし 緑色
お隣の中部電力管内では、緑のものが普及しており、これが低圧配電線の接地側電線の引き通しで使われている。

 

低圧ピンがいし(曲ねじ込み仕様) 茶色
同じく中部電力管内では、200Vの低圧配電線の引き通しには茶色の低圧ピンがいしを使用している。

写真のものは中でも古く、かつての昭和の木製電柱時代に普及していたものであり、ボルトが曲ねじ込み仕様となっている。
古い文献では、茶色ではなく、鳶(とび)色との表記も見かける。
恐らくそれは、羽の色を例えたのだろう。

低圧引き込み線用支持がいし

低圧引き込み線支持のがいしの種類については、低圧引き留めがいしが主流となっているが、他にも昔からあるもので以下のものがある。

DVがいし

これは、DV線となった低圧引き込み線の引き留め箇所で使われる。

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