低圧配電線の構造(東京電力の電柱編)

<低圧電灯線の種類>

単相3線式の低圧電灯線(100V/200V)の例

配電線に張られている低圧配電線で、今最も主流であるのが単相3線式の低圧電灯線である。
この単相3線式の電灯線は、家庭でよく使われる100V以外に200Vの取り出しも可能となっており、両方の電源を使うことができる。

単相交流2線式の高圧配電線から単相交流を取り出し、その下にある変圧器から単相3線式の低圧配電線を取り出している例
肝心な単相3線式の低圧電灯線は、一番上から3番目にある3本の電線になる。
なお、ここではそれ以外の細かい説明についても記入させて頂いた。
注意:黄色の記述で、1台の変圧器から低圧電灯線を取り出せると書いてしまったが、現在では変台不要の1台の縦長の変圧器であれば、後述で紹介の低圧動力線が取り出せるものも登場している。

                                                             

単相2線式の低圧電灯線(100V)の例

昔の主流であったのが、単相2線式の低圧電灯線である。
なお、こちらは、単相3線式の電灯線とは違い、100Vの電源しか使うことはできない。

単相2線式の低圧電灯線の例
昔の低圧電灯線はこれが基本だったのだが、近年では家庭でもエアコンやIHに200Vを使うことが増えたから、配電柱に張られている光景はほとんど見かけなくなった。
幹線としての使用は既に廃止されている。

<以下は、単相2線式の低圧電灯線(100V)の拡大写真を示す。>

単相2線式の低圧配電線は、アースされた接地側電線と非接地側電線で成り立っている。
なお、接地側電線(アース線)の支持については、接地の意味を施した青色の低圧引き留めがいしが使われる。
(緑っぽい色をしているものもあるが、これは信号機の色が緑でも青信号というのと一緒である。いわば固有文化)
なお、東京電力管内では特に、200Vと100Vの非接地側電線の支持で使われる低圧がいしの色分けはなされていない。
(ちなみに、お隣の中部電力管内では、電圧別に色分けがなされており、200Vは茶色、100Vは白色と決まっている。そして、非接地側電線はやはり、緑の低圧がいしで支持されている。)

                                                             

<低圧動力線の種類>

低圧動力線は三相3線式が主流となっており、200Vの電源しか使うことはできない。
主にこれは、動力源(モーター)を必要とした小規模の工場で使われている。

三相3線式の低圧動力線(200V)の例

東電管内では、三相3線式の低圧動力線は単相3線式の低圧電灯線と併架されることが多く、この2つのセットは低圧本線の基本形と言える。
なお、2つが併架されている理由は単純。工場でも照明や電話機等に100Vを使いたいときもあるから、セットで張られているのだ。
小規模工場の低圧引き込み線を見ると、必ずと言えるほど、単相3線式の低圧電灯線もセットで引き込まれている。

なお、中性線(接地側電線:アース)については、下で併架されている単相3線式の電灯線のものと共有されているようである。

さて、一通り、低圧配電線の基本をおさえた次は!配電線の各変圧器の低圧2次側の結線図を説明していく。
今の最新型変圧器の低圧側(2次側)の吹き出し口は3つの穴しかないが、実はこれは昔は4つ抜き穴が主流で、昔は変圧器からの電線の取り方次第で、単相2線式や単相3線式の低圧線を取り出すことができたのだ。
なお、これについての詳しい図を示せば下記の通りとなる。

昔の変圧器は4つ抜き穴が主流であったため、昔は電線の取り出し方次第で、単相2線や単相3線を取り出せた。
しかし、これも時代の流れ・・今後は3つ抜き穴の変圧器が主流になるだろうから、完全に見られなくなると思われる。

そして!上記の図のおさらいとして、ここからはおまけとして、旧式の例を紹介する。

<1台の単相変圧器から単相2線式の動力線(200V)を取り出した極めて珍しい例>

単相2線式の動力線(200Vしか使えない線)が実際に低圧配電線として張られている光景は見たことがないが、変圧器2次側からは、明らかに単相2線式の動力線を取り出している光景は見たことがある。
(ここからは、上記の図のものが実際にあることを証明するため、そういったものを紹介していく。)

まず、全体像を見ていくと、ここでは変圧器が1台乗っかっているから、それは電灯用変圧器のように思いがちだが、ここは違った!!

実際のところ、ここでハンガーで吊り下げられている変圧器は旧式のもので今とは違い、2次側(低圧側)の吹き出し口は4つの穴がある。
そして、2次側(低圧側)の結線をよ〜く見ると、一番左端と一番右端の電線をそれぞれ取り出し、単相2線式の200Vを取り出していることが明確にわかる。
(なお、この内の1線は、変圧器の外箱と地中に接続されている接地側電線(アース)になる。)

下を通る三相3線式の動力線本線とは接続させていないことが明確にわかる横写真はこちら
赤○で囲ったものは低圧引き込みヒューズです。この先に引き込み線があるということを示しています!

それも、ここでは下に張ってある三相3線式の低圧動力線には接続させず、わざわざ1件分のために、動力用変圧器を取り付けていたことがわかった!
まず、今では恐らく、滅多に見かけないであろう古い設備となっている!
因みに、引き込み線の状況写真は以下の通りとなる。

ここでは、ここの変圧器で取り出した単相2線式の動力線(200V)と単相3線式(100V/200V)の電灯線が左の建物へ引き込まれていた。
因みに、引き込み先は某車屋(修理もできる店)であった。その修理に動力源を使うのだろう。

なお、上記は単相変圧器1台を用いた場合による単相2線式の動力線の取り方の例となり、従来は同容量の単相変圧器を2台用いたV結線方式による三相3線式の動力線が主流であった。
(もう今では、最新変圧器の登場で、単相変圧器を2台用いたV結線も古い方式となっている。)
それについては、下記で説明している。

<同容量の単相変圧器2台から三相3線式の動力線を取り出した例(V結線方式)>

ここでは、2台ある単相変圧器からそれぞれ両端の電線を取り出し、V結線方式で三相3線式の低圧動力線(200V)を取り出しているのがわかる。

<1台の単相変圧器から単相3線式の低圧電灯線(100V/200V)を取り出した例>

ここでは1台の変圧器から単相3線式の低圧電灯線(100V/200V)を取り出していることがわかる。

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