都市型配電の種類(東京電力の電柱編)

無電柱化がされていない駅前や都心のオフィス街ではお馴染み、ここではそういった場所で見ることができる都市型配電の種類について紹介していく。

<都市型配電の登場時期と登場した理由>

都市型配電とは、昭和50年代に登場したもので、周辺環境への美化対策や、ビルで火災が起きた際、はしご車が効率よく消防活動をしやすいよう
ケーブルを張る位置を少し低めにし、高圧3本と低圧4本のケーブルをそれぞれ1つにまとめた架空ケーブルによって配電可能とした方式を示す。

<都市型配電の種類>

都市型配電の種類は、高圧と低圧の両方を架空CVTケーブルにするものや、高圧のみ通常の絶縁電線を使い、低圧のみが架空CVTケーブルになっているものなどがある。
他には、これよりも極力電線の本数を少なくし、低圧架空ケーブルについては引き込み線以外は一切張らず、高圧架空ケーブルのみにし、直接柱上にある変圧器から低圧分岐箱を使って低圧線を取り出せるものもある。
それをコンパクト配電といい、都内で代表するものであれば、これは原宿の竹下通りや六本木ヒルズの裏通りで見ることができる。
それでは都市型配電の種類を紹介していこう。

高圧と低圧の両方がCVTケーブルになった都市型配電の例
都市型配電で都市型変圧器を取り付けた例
都市型配電の基本は、高圧低圧共々、ケーブルになっていることだ。
高圧については、やや太めの3本のケーブルをねじ合わせた架空CVTケーブルを使い、低圧は4本の架空CVTケーブルをねじ合わせたものを使っている。
いずれとも電柱間では、そのケーブルがバラバラにならぬようラッシングがされている。
続いて、都市型配電用の変圧器については、動力用、電灯用の両方が縦に2台入ったものが使われているから、かなり大きめのものが使われる。
これ1台で動力と電灯の両方を取り出せるから、都市型配電はこういった面ではかなりコンパクトになる。
唯、その分変圧器は大型となるから、目立ちやすいデメリットもある。
次いで、同変圧器の横の面には、黄色で大きく50+125と書かれているが、これは50kVAと125kVAの変圧器が2台縦に入っているという意味合いになる。
いわばこれは複合型の変圧器となっている。
分岐管
 
中には下へ向けて2系統分岐できる分岐管がない仕様もあるみたいだが、これはほぼない。↑
都市型配電線で変圧器への高圧引き下げ線を分岐する場合、CVTケーブルでは通常の絶縁電線のように、直接電線を分岐したり接続したりすることはできないから、特殊な分岐管を使う。
この分岐管については、必ず配電柱に取り付けられられており、1つの分岐管につき、1回線や2回線の分岐が可能となっている。
上記写真左側では、2回線の分岐が可能な分岐管を示した。
ちなみに2007年頃からは、分岐ができない仕様も登場しており、それを上記写真右側に示した。
低圧分岐箱と低圧引き込み箱
さて、分岐管により分岐された3本の電線は、大型の都市型変圧器に取り込まれて、その後は高圧から低圧へ変圧された4本の電線が出てくるが、その先にももう1つ白い箱が複数あるのが見てとれる。
低圧に関しても高圧と同じく、4本のCVTケーブルが使われているから、通常の絶縁電線のように、電線を直接分岐したり接続したりすることはできない。
このため、低圧では低圧分岐箱というものが使われる。
大型の都市型変圧器から出てきた4本の低圧線(三相4線式)は、その低圧分岐箱を通り、そこで完全に動力線と電灯線で振り分けられ
最後は、右側に柱を挟んで並んで2つある低圧引き込み箱に引き込まれ、そこで通常よく使われる低圧引き込み線(CVケーブル)に変換される仕組みとなっている。
その低圧引き込み箱には、それぞれ「動」、「灯」の印字があり、これが動力用、電灯用という意味合いになる。
なお、これについては、動力と電灯の両方の低圧引き込み箱を低圧分岐箱と一体化させた低圧分岐引込箱も実在する。
但しこれは、普通の都市型配電並みに見かけることはない。
それについてはこちらを参照されたい。
低圧分岐箱の定格電圧については、低圧分岐箱に印字がある通り、210Vであるから、それぞれ電灯100Vと動力200Vの電圧が2本ずつの線にかかっていることになるかと思われる。
だから、こういった都市型変圧器を用いたものでは、定格を超えた400Vはありえない。
また、この低圧線の架空CVTケーブルは三相4線式で配電されていることが上記写真の型式の欄で確認できる。
都市型配電で開閉器を取り付けた例
 
続いて、開閉器の取り付け方についても色々なものがある。
ケーブルヘッドを使わずに開閉器の両側に大きな3つの筒を直接、開閉器の白い3つのブッシングに取り付けて、CVTケーブルを開閉器に接続した例もあれば
通常の配電線で使われる開閉器をDアーム、その両側にケーブルヘッドを取り付けて、開閉器の通過地点のみ通常の絶縁電線に変換して接続した例
あるいは、アームタイレスバンドの短い腕金に開閉器、同じく、その両側にケーブルヘッドを取り付けて、開閉器の通過地点のみ通常の絶縁電線に変換して接続した例もある。
ここでは、上記写真左側より、その例を写真で順に並べてみた。
都市型配電用の開閉器は、通常の絶縁電線の対応が可能
 
都市型配電用の開閉器については、縦付けされるのが基本であるが、これについては、一応、通常の横付けされた開閉器と同様に通常の開閉器としての使用も可能のようだ。(上記写真左側)
唯、この使用例については、ほとんど見かけることがない。
また、Dアーム等に取り付け、普通の配電線で使われる横付けされた通常の開閉器についても、都市型配電用の開閉器のごとく
ケーブルヘッドを省略して使用することも可能のようである。(上記写真右側)
高圧線が絶縁電線で低圧線が架空CVTケーブルになった都市型配電の例
(高圧線は水平配列)
  
高圧線を水平配列にした場合の都市型配電の場合、スリップオンがいしは別の腕金に取り付けることが多い。
勿論、スリップオンがいしをそのまま引き通し用として取り付けている箇所もある。
また、右写真の通り、普通の変圧器を使ったものでも低圧線を3相4線式のCVT架空ケーブルにしているタイプもある。
マンションの引き込みで使われる都市型配電の例
(高圧が水平配列になったもので)
マンションの場合は区分開閉器を挟み、高圧のまま地中CVTケーブルで直接引き込み、自前の受電設備でそれぞれ低圧に変換するのが大半であるが
稀にマンションの引き込みで都市型配電用の変圧器を使い、それぞれの低圧に降圧させているものがある。
その一例をあげると上記写真のようである。(後ろにマンションがある。)
低圧分岐箱からはケーブルがそれぞれ4本ずつ出ており、地中へ向かっていた。
高圧線が絶縁電線で低圧線が架空CVTケーブルになった都市型配電の例
(高圧線は縦型配列でD型腕金を使用)
高圧線を縦型配列にしたもので都市型配電といったものでは、D型腕金に直接スリップオンがいしを取り付けることが多い。
縦型配列で低圧引き込み箱を簡素化したもの

中には、低圧分岐箱と低圧引き込み箱とが合体した、低圧分岐引込箱が使われることもある。
低圧分岐引込箱を使うことで低圧引き込み箱は完全に省略され、ケーブルがごちゃごちゃしないようになっている。

低圧分岐引き込み箱の例
(これは動力用と電灯用の2つの低圧引き込み箱が、1つの低圧分岐箱に一体化したものになる。)
高圧線が縦型配列となった都市型配電の場合は、低圧引き込み箱を別に取り付けず動力と電灯の2つの低圧引き込み箱を低圧分岐箱に一体化させた低圧分岐引き込み箱が使われることもある。
その一例を示せば上記写真のようである。
コンパクト配電の例
(低圧架空CVTケーブルによる低圧本線は完全に省略し、引き込み線のみとなったのがコンパクト配電の特徴だが、稀に張られているものもある。)

低圧線を張らないコンパクト配電の例(低圧引き込み線は除く)

低圧架空CVTケーブルを少し張ったコンパクト配電の例

原宿の竹下通りにあるコンパクト装柱の例
代表例でいえば、ここ以外に六本木ヒルズ付近にもある。
コンパクト配電は普通の都市型配電よりも電線の本数を少なくし、より簡素化させたものになる。
変圧器についても、普通の都市型配電で使われる変圧器とはまた違う種類のものが使われているようだ。
コンパクト配電は美化を考慮したストリートで使われることが多く、都内の代表例としては、原宿の竹下通り、六本木ヒルズの裏通りで見ることができる。
東京ミッドタウンの裏通りでもかつて使われていたが、そちらについては今は普通の配電方式に戻された。
本線他、引き込み線をなくしたものも
さらに近年では、本線諸共、引き込み線を全く張らないものも登場している。
この支持物は、電線類は全て地中化したものであって、街灯の他、基本的には柱上には1台の変圧器があるのみとなっている。
(中には変圧器なしもあり。)
主要観光地などでは、こういう配電方式もあるようだが、個人的には好きではない。

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