秩父鉱山の構内用配電線路 その1
(撮影年月:2010年8月)
埼玉県秩父市の小倉沢にある秩父鉱山(ニッチツ鉱山)を通る道路(県道210号中津川三峰口停車場線と林道金山志賀坂線)沿いには
一部は断線していたり、または1990年代に、一時設備更新をされたりしたものもあるのだが、かつて繁栄していた頃に活躍していたであろう、当時の昭和の古い廃電設備が今も残っている。
支持物は木柱が大半であるが、一部の更新区間では鉄筋コンクリート柱やパンザーマストも目立つ。
ここは廃墟として有名なところなのだが、実は配電設備についても、結構見応えのあるものがある。
ここでは、その古い設備を見てゆく。
その前に、少しおまけを掲載してから、本題に入ろうかと思う。

こちらは、秩父湖に寄り道した際に撮影したもの
トンネル内にT字路があったレアなトンネルになる。
しかし最近は、新たなる道がトンネルの外にできたから、現在は封鎖されている。(2016年現在)
トンネルの前にあった待ち時間付きのレアな信号機?
東京方面からだと、国道140号線より県道210号に入り、最後の長いトンネルを潜る少し手前で、左側から突如として、その構内線が見えてくる。
それが秩父鉱山(ニッチツ鉱山)の構内用配電線路だ。
唯、当時の撮影技術は今ほどの徹底ぶりはないため、途中からの撮影となっている。
これはその上がってきてから2本目に相当
その次は、支持物は鉄筋コンクリート柱で、架空地線キャップを取り付けた近代構成が見えたが、構内用高圧配電線の引き通しをしているのは、昔の高圧ピンがいしである。
その配置もまた鉱山にあるものとしては珍しく、全ての電線を片側へ寄せたやり出し装柱となっていた。
その次は、支持物はパンザーマストで、架空地線支持は腕金、いや、ここは腕金ならぬアングルである。
それから構内用高圧配電線の引き通しは、2:1に配置させた高圧ピンがいしによる引き通しでやや古めだった。
この後は
秩父鉱山に入る直前にある、長いトンネルの目の前の左上だ。
真新しい1台の区分開閉器と、古そうな小容量の柱上変圧器をハンガ―吊り固定させたミニチュアなハンガー装柱が見えてきた。
東電で見かけたものよりもはるかに小型である。
構内用では、このようなものも普及していたのだろうか
開閉器を除く他のパーツは、どれも古そうである。
まず、架空地線を引き留めているのは、変わらずアングル。(背後は支線か?)
高圧配電線の引き留めは、1個の高圧耐張がいしを使用しており、3300V設備を思わすものだ。(でも実際は6600Vかなぁ)
また、その引き留めクランプカバーは、地方のものだろうか、東電管内では見慣れないものだ。
開閉器はつい最近取り換えたようで、製造年は2009年を示していた。
高圧配電線も真新しい。
ということで、ここはまだ活線区間も実在しているようだ。
だが、高圧カットアウトの製造年は、1974年(昭和49年)と古かった。
左側には単相変圧器のためと思われる避雷器も見える。
その方もアングルで固定されている。
さて、ハンガー吊りされている変圧器は、近代の腕金ではなくアングルに2つのハンガーを吊り下げて固定している。
その変圧器もまた、蓋の形状が台形をしているかなり古い型だった。
ブッシングも赤い丸みを帯びたスタッド型ブッシングとなっている。
そして変圧器の容量は、今時では見慣れない、なんと!2kVA
この容量は、戦前の頃なら大量にあったことだろうが、電力需要が増加した現代で見るのは完全に不可能である。
現在それを見ることができるのは、恐らくここだけではないだろうか
それからその低圧側の結線(2次側)も単相2線式の100Vであるのが見て取れた。
小容量の変圧器は、何か付近の外灯として使っているのだろうか
見た感じ、トンネル内には照明はない。
なお、その方は
構内用高圧配電線と一緒にCVケーブルとなって、トンネル内を通過している模様。
トンネル通過後にも、区分開閉器を取り付けたものがあるようだが、それは撮影ならず、2本目より撮影
それまたピンボケ写真となってしまったが、今度は架空地線支持は腕金による鳥居型で、高圧ピンがいしは2:1に配置させた引き通しとなっていた。
なお、高圧用腕金は溝付き腕金である。
ここでは区分開閉器を取り付けて、右側へ構内用高圧配電線を分岐しているようである。
それからこれは後から頂いた情報提供によるが、トンネルを超えて南側の方には、全体が赤塗り仕様の高圧ピンがいしを取り付けた2回線の廃電柱もあるみたいだ。
撮影時は夏であったため、気が付くことができなかった。
まだトンネルに構内用配電線を通過させることができなかった頃は、2回線で山を超えていたのかもしれない。
次は両引き留めで、近代の設備を比較すると簡素な構造
支持物は変わらず、パンザーマスト
アームも腕金ならぬアングルである。
両引き留めの高圧耐張がいしの個数も、昔の3300V配電を思わすような1個。
引き留めクランプカバーはなし。
高圧耐張がいしが登場した昭和35年頃は、まだこういったものが基本だった。
その次はいよいよ、支持物に木柱を使用した、昭和感ありありなものが見えてきた。
公衆トイレの目の前である。
高圧配電線の引き通しは、もちろん高圧ピンがいし
この構成ならば、関西電力管内である奈良県の吉野で見たことがある。
唯、今やそこも現存はしていないようだ。
違いは、アームタイの長さと、架空地線の引き通しにがいしを使用しているか、していまいかぐらいだ。
こちらはしていまい。
その次は鉱山専用の給油所があるが、ここはその裏手だ。
給油所の電源用なのであろう
油入開閉器と
ダブル変圧器を取り付けたものが見られた。
変圧器はどれも古そうだ。特に右側の箱型は初めて見かけた。
油入開閉器については、昭和40年代頃に絶縁油の噴出事故があって以来は廃止が続き、現在では装柱自体見かけないが
ここではそれを高圧引き下げ線を引き下げる直前で使用しているようだ。
なお、ここでは高圧引き下げ線と低圧立ち上がり線を含めて、全部CVケーブルとなっているようだ。
油入開閉器を出た後の高圧引き下げ線は、CVケーブルとなって、各変圧器へ接続されている。

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