変圧器の取り付け方の種類 その2(東京電力の電柱編)

ここでは、低圧本線よりも上に変圧器が取り付けられたタイプを紹介していく。
このタイプは特に都内で確認でき、道幅の広い片側一車線の道や都道沿いなどで見かける。
低圧本線よりも上に変圧器を取り付ける理由についてだが、電灯を取り付けるスペースを確保する為に、低圧線より上に変圧器を取り付けているのかと思われる。
それではまずは、旧式のハンガー装柱から紹介していく。

<旧式!!今となっては激レアのハンガー装柱を紹介!>

ハンガー装柱はかつての昭和30年代〜昭和50年代にかけて、都内と神奈川県を中心に、国道沿い、都道沿い、街道沿いといった道幅が広い道で大いに活躍した。
国道や都道でない道でも片側1車線の道幅が広ければ見かけることがあった。
都電が走る道幅が広い道でも普通にあったようであり、都電の架線や電柱に取り付ける電灯を避けるのにもかなり最適だったようである。
しかし、昭和50年代に入るとハンガー装柱の次世代として丸型土台が登場し、また、電力需要が増加したため、ハンガー装柱では大型の変圧器を吊ることができなくなってしまったため、急速に数を減らした。
(東電管内のハンガー装柱については、変圧器容量30kVAまでの吊り下げが限界だったようである。)
そのため、平成28年現在では全く見かけることがなく、絶滅寸前状態となっている。
ハンガー装柱による変圧器の取り付けの向きについては、変圧器の向きを配電線と垂直にした前受け(正面受け)と変圧器の向きを配電線と並行にした横受けがある。
なお、前受けについては、後ろ側に高い建物があり、突き出せないような箇所で使われていたようである。

<ハンガー装柱の由来について>

恐らくだが、変圧器をハンガーにかけて腕金から吊り下げることができることから、そのような名前が付いたものかと思われる。

写真で記した部分がハンガー
2つのハンガーによって変圧器は腕金から吊り下げられている。
普及時期:昭和30年代〜50年代にかけて、主に国道沿い、都道沿い、街道沿いで普及
(国道沿いや都道沿い、街道沿いでなくても、道幅が広ければ見かけることがあった。)
ハンガー装柱の種類(横受け:配電線と変圧器の向きが平行)
変圧器1台装柱
(呼び名:シングルハンガー装柱、シングルハンガー等)
変圧器2台装柱
(呼び名:ダブルハンガー装柱、ダブルハンガー等)
1台(電灯用100V)タイプはそれなりに、都道沿いで多く見つけることができた。 今や平成20年代、2台(動力用200V)を見つけるのには大変苦労した。
写真のものは変圧器がとうとう大容量のものに更新されてしまったから既に現存していない。
そして、結局のところ、10kVAによる2台(動力用200V)は見つけることはできなかった。
ハンガー装柱の種類(前受け:配電線と変圧器の向きが不平行)
変圧器1台装柱 変圧器2台装柱
前受けについてはほとんど見かけることがない。
写真のものは既に現存していない。
都内の立川市内を通る立川通りには、非常に珍しい、前受けで2台タイプを発見をすることができた。
前受けによる2台については、こちらでしか確認していない。
こちらについても既に現存はしていない。
その中で、一か所のみでしか確認できなかった激レアを紹介!
<<ハンガー装柱で15kVAの変圧器を取り付け!(横受け)>>

変圧器の吹き出し口(2次側)を見ると、端と端の電線を取り出しており、動力線200Vを取り出していることがわかる。
1台から動力線200Vを取り出すとは、あの頃らしい設備だ。
神奈川県横浜市旭区の鶴ヶ峰地区に偶然残っていた、かなり珍しい15kVAの変圧器を吊ったハンガー装柱になる。
他では見たことがない。

<丸型土台仕様のものを紹介!>

ハンガー装柱を引き継ぎ、昭和50年代からは丸型土台が登場している。
前ページで紹介した通り、登場初期はスケルトンタイプの大きな土台が登場したが、今はスケルトンでないタイプの土台が主流となっている。
電力需要増加に伴い、これまで小容量の変圧器を吊っていたハンガー装柱から変圧器が交換された箇所が都内に多々あったようであり、これについては変革による種類が幾つかある。
ここからは、変革を遂げる前の初代物から詳しく紹介していく。

<<初代物>>
普及時期:昭和50年代
ハンガー装柱と同じく、国道沿い、都道沿いといった広い道で普及していた。
変圧器よりも上に高圧カットアウトを取り付けたタイプで 変圧器への引き下げ線支持に鍵型金具を使用したタイプで
前受け 横受け 前受け
変圧器1台装柱 変圧器2台装柱 変圧器1台装柱
(土台にスケルトンを使用)
変圧器2台装柱
(鍵型金具を使ったものになるが、世田谷区の環七通り沿いには
引き下げ線が下部まで引き下げられているものもあった。
ここでは高圧カットアウトが土台にあるのが見て取れる。)
変圧器1台装柱
昭和50年代からは、都道沿いなどの大通りを中心に一部地域で登場した。
スケルトンタイプの土台を使ったものも普及していたようだが、その撮影はできずに終了した。
変圧器よりも上に高圧カットアウトを取り付けたものの中には
変圧器への引き下げ線支持に鍵型金具を使用したものがある。
昭和50年代に都内の文京区、豊島区、北区、それから世田谷区といった
限られた地域でこちらも同時に登場していたようである。
世田谷区を通る世田谷通りでは、鍵型金具を使用したもので、珍しい前受けを発見
変圧器1台装柱
(土台に縦長の腕金を取り付けたもので・千葉限定)
一方で千葉には同様の種類のもので、変圧器の土台に縦長の腕金を取り付けたものが見つかった。
普及時期:昭和50年代後半〜平成初期
変革を少し遂げ、昭和50年代後半頃からはこういったものも登場した。
横受け
変圧器1台装柱と変圧器2台装柱
 
それが、ハンガー装柱に似せて横に変圧器を取り付けたもので、変圧器への引き下げ線支持に普通の腕金を使用したものだ。
なお、引き下げ線は下部までは引き下げず、上段にある腕金から直接、下方にある変圧器へ向かっているのがわかる。
変圧器の取り付け向きは横受けが多く、いかにもハンガー装柱から交換されたかのような感じがするものである。
前受け
変圧器1台装柱と変圧器2台装柱
 
普及時期:平成初期〜平成15年頃まで
変革をさらに遂げ、平成初期からはこんなものが登場した。
変圧器1台装柱 変圧器2台装柱 変圧器3台装柱
(土台は丸型と腕金仕様のものが混在しているものになる)
というのは、丸型土台を使ったもので、引き下げ線を丁寧に土台まで引き下げたこういったものだ。
平成初期頃から急速に増え始めたが、今は土台を使わない新型の変圧器に交換されることが増えてきている。
Fアームの内部に変圧器を収納
神奈川県限定
神奈川県内限定で、Fアームを使ったもので上部に変圧器を取り付けたものがある。
普及時期:平成22年に一時期普及
平成22年(2010年)から数年にかけては一時期、丸型土台からアームを伸ばして、高圧カットアウトを取り付けるものが登場した。
丸型土台を使ったのものの中では、これが最後の登場となった。
これ以降は土台を使わない変圧器が新設の大半を占めている。

<腕金仕様の土台を紹介!>

このページの前述の通り、低圧本線より上に変圧器を取り付ける場合は、かつての昭和40年代頃まではハンガー装柱が多かった。
しかし、やがての昭和50年代に入ると、電力需要の増加に伴い、次々と大容量変圧器に更新する必要性が出てきた
しかし、東電管内でかつて使われていたハンガーは30kVAまでの変圧器しか吊り下げることはできなかったことから、ハンガー装柱は急速に姿を消していき、丸型土台で対応するようになっていった。
ゆえに、その当時取り換えられたのは、既に丸型土台が登場してからの頃であったから、腕金仕様による土台はあまり確認できていない。

変圧器の土台が腕金によって構成されたタイプで
高圧カットアウトの取り付けは通常の位置 高圧カットアウトを上部に取り付け
変圧器1台装柱 変圧器2台装柱
変圧器1台装柱
低圧線より上に変圧器を取り付けるものでは、腕金仕様の土台を見かけることは数少なく、これについては、丸型土台仕様のものを見かけることが大半である。
なお、高圧カットアウトは下部に取り付けたものを見かけることが大半であったが、1本のみ、首都高脇に上部に取り付けたものを確認している。
土台の上に敷かれているものは同じで、木版や鉄枠が使われる。鉄枠は塩害地域で使われる。

<土台不要の新型変圧器>

ここからは、平成15年(2003年)頃から登場した土台不要の新型変圧器を低圧本線より上に取り付けたタイプの種類を紹介していく。
新タイプは動力用、電灯用を含めて変圧器1台装柱が基本となっている。

普及時期:平成15年〜平成26年初頭
土台不要の新タイプ
高圧カットアウトは変圧器から伸ばした細いアームにより支持
変圧器1台装柱 変圧器1台装柱 変圧器2台装柱
重塩害地域では、高圧カットアウトの取り付け金具に耐塩ピンがいしを取り付けている。 一見は引き下げ線が3本あり、縦長のトランスが使われているから動力用トランスに見えがちだが
繋がっている先の電線は電灯線100Vだから、電灯線トランスにも対応するらしい。
2台は稀に見かける。
平成26年〜
土台不要で高圧カットアウトを腕金に直接取り付けたタイプ
また、変圧器への高圧引き下げ線も高圧用腕金に直付けするようになっていった。
2014年からは、これまで上段にあった腕金は省略し、高圧用腕金と共用するようになったタイプが登場した。
平成26年3月頃より、今度は高圧カットアウトを変圧器から直接伸びたアームで支持するのはやめて、2メーター仕様の腕金の変圧器のすぐそばに取り付けて支持することができる新タイプが登場した。
また、上段に従来まであった変圧器への引き下げ線支持用のがいしを取り付けたトンボ腕金や1本の腕金は完全に省略され、高圧用腕金に直接取り付けるようになった。
題して、直付けと呼んでいる。

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