柱上変圧器(ちゅうじょうへんあつき)
(柱上トランス)
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柱上変圧器とは、6600Vの高圧線を家庭で使用できる低圧電灯線100V、もしくは工場のモーター等で使われる動力用に低圧動力線200Vに降圧できる装置を示す。
よく電柱の上にドラム缶みたいなバケツが乗っかっていると思うが、それが変圧器になる。
変圧器の台数の意味合いについては、2台乗っかっていればそれは動力用、1台乗っかっている場合は電灯用と見分けができたが
土台が要らない新型変圧器の登場で、今後はそういった見分け方はできなくなると思われる。
また、土台が要る従来の変圧器を使ったものであっても、栃木にある特殊な低圧4線式の場合は、そういう意味合いではないこともあるから、そこは注意願いたい。
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配電柱上に設置される配電用変圧器の例
(変圧器を設置する場合の基本形)
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変圧器の容量はkVA(キロボルトアンペア(皮相電力の意))で表される。
容量については、2kVA,5kVA 7.5kVA(7 1/2表記もあり),10kVA,15kVA,20kVA,30kVA,50kVA,75kVA,100kVAがあり、また、都市型装柱用で昭和50年代からは50+125kVAも登場したが
現在は電力需要が増加したため、東京電力管内では10kVAより小容量の変圧器は実在していない。
容量表示の文字色は古いものから緑文字、赤文字、黄色文字、そして現在主流の青文字があるが、色の意味は忘れてしまった。
(以前、詳しい方に聞いた情報によりますと、変圧器内部で使われているアモルファスやモールド等の材質で色分けがされていると聞きました。)
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変圧器の種類を一部、写真で紹介
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中東京変電所にて保管されていた旧型の変圧器の例
容量表示が7と1/2(7.5kVA)表記となっており、比較的珍しいものになる。
旧型の10kVA電灯用トランスの例
容量表示は赤文字となっており、形状は箱型!今となってはかなり珍しい旧型の変圧器となる。
神奈川県伊勢原市内で発見!
最新の変圧器では見かけることがなくなった、前面にある4つのフックはハンガー装柱に対応できる仕組みとなっている。
ハンガー装柱については後述に掲載のこちらを参照されたい。
15kVAの動力用ダブルトランスの例
容量表示の文字色は左が赤で右は黄文字であった。
まだ30kVAトランスが少なかった頃の時代のものであろうか。現在では全く目にすることがなくなった。新設はしていない模様
こちらも神奈川県伊勢原市内で発見
旧型の20kVA電灯用トランスの例
こちらも現役の珍しい赤文字トランス
前面にはやはりハンガー対応の4つのフックあり。
埼玉県草加市で発見!
旧型の20kVA動力用トランスの例
緑文字は赤文字よりも見かけることが極端に少ない。
埼玉県八潮市で発見
ハンガー吊りされる30kVA電灯用トランスの例
ハンガー自体は古いが変圧器自体は容量表示が青文字となっており、比較的最近のものとなる。
東京都品川区にて
旧型50kVA電灯用トランスの例
変圧器が落ちないよう縛りつけてある捕縛バンドも針金状のものを使っており、それなりに古い
埼玉県草加市にて
旧型75kVA電灯用トランスの例
神奈川県伊勢原市にて
100kVA動力用でダブルトランスの例
東京都武蔵村山市にて
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マンションの引き込みで使われる都市型変圧器の例 容量:50+125kVA
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無電柱化がされていない東京都心のオフィス街ではもう馴染みある都市型トランス!
その他に駅前や繁華街でも普及しており、マンションの引き込み用で使われることもたまにある。
ブッシングの形状や容量表示の位置はメーカーによって多少の違いあり。
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400Vトランス
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山奥で低圧配電線が長くなる場合は電圧降下が発生しないよう、少し高めの電圧にしている箇所がある。
そういった箇所では400Vトランスが使われることがある。
通常の変圧器とは違い、黄色のテープが本体に貼ってあるのが目印!
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変圧器の取り付け方の種類(一部)
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変圧器の取り付け方については、従来までは腕金によって作られた土台を作り、その上に変圧器を乗せたり
また、道幅が広い国道、都道沿い、街道沿いなどでは、腕金からハンガーを使って変圧器を吊り下げた方式(ハンガー装柱)も過去には普及していた。
昭和50年代に入ると、今度は丸型土台(初期はスケルトン)も登場し、やがて平成に入れば、変圧器の取り付け方法は、ほぼ丸型土台を使ったものが大半となっていた。
それに次いで、2003年頃からは、今度は土台を使わない新たな変圧器が登場したため、近年では土台やハンガーは使わず、直接取り付けるものが主流となっている。
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昭和中期〜後期にかけて、かつて大通り沿いで大いに活躍したハンガー装柱の例
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ハンガー装柱の例
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ハンガー装柱は電灯を取り付けるのにもとても効率が良かった装柱だと思われる。
また、都電が走る大通りを中心によくあったようで、道路上に張り巡らされた都電の架線を避けるのにも、この装柱は最適だったようだ。
ところがこれも時代の流れなのか、現在、ハンガー装柱は絶滅寸前状態にあり、今は土台を使わない変圧器の取り付け方法が主流となっている。
絶滅寸前の状態であるのは、電力需要が増えたことや、新規格の変圧器が登場したことが挙げられる。
最も、東電管内のハンガー装柱で支持できる変圧器容量は30kVAまでと決まっているようだから、これが同管内でのハンガー装柱絶滅の最大の理由なのかもしれない。
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変台(変圧器の土台)やハンガーは一切使わず変圧器を取り付けている最近の設備の例
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コスト削減とはいえ、最近の設備は個性がなくなってきている。
今後はこういったものが増えていき、変圧器を取り付ける場合の基本形になると思われる。
変圧器の取り付け方の種類については、こちらを参照されたい。
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