電柱上の年代物パーツを紹介!(10ページ目)
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10ページ目では、その他諸々、団地や発電所等で撮ってきた古い遮蔽線(しゃへせん)、保護網付き配電線や確実に古い木柱などを紹介!
まずはじめに、遮蔽線の特集ページを挙げ、送電線と遮蔽線の関係を紹介
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こちらは神奈川県の横浜市青葉区を通る東急田園都市線のたまプラーザ駅から少し北に行った美しが丘地区で見かけたものだ。
送電線(柿生線)の下をくぐる古い配電線(左)であるが、その高圧配電線の上部には、いつもは見かけない4条の遮蔽線(しゃへい線)を張ったものが確認できた。
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しかもここは高圧配電線もどうやら長いこと未更新のようであり、3本のジャンパー線の支持は近代普及の10号中実がいしでなく普通の高圧ピンがいしとなっていた。
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遮蔽線(しゃへいせん)について!
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空中に張られている架空送電線は裸電線が使われているため、絶縁のほとんどは空気に頼っている。
例えば2回線の送電線が平行に並んだものがあったとして、片方は電気が流れている活線で、もう片方は電気の流れていない停止中の送電線があるとしよう。
こうなると、停止中の送電線にはもちろん電気が流れるわけがないと思ってしまうが、実際はそうではない。
近くに高電圧のかかった送電線があると、活線の送電線側から電圧が誘起され、停止中の送電線には危険電圧が加わることがある。
この現象を誘導障害という。
(誘導障害には電磁誘導障害と静電誘導障害の2種類あり。)
またこれは、電話線などの通信線に対しても引き起こり、この場合は通信障害が引き起こる。
送電線の電圧が高く、またその高さが相当低い場合も、線下を歩く歩行者などに対しても引き起こる。
その様相を示すものが実際に、千葉の日本発の50万ボルト送電線(房総線)線下にある。
なんにもない畑に遮蔽線があるのがその証拠だ。
誘導障害を防ぐためにとられる対策としては、送電線の下を通過する配電線や電話線類の上部に、あえて電気の流れていない遮へい線(網目状のものを保護網)を張ったり、送電線からできる限りの範囲で配電線を引き離したりすることであったが
近年では遮蔽線を張るよりも、送電線からできる範囲で配電線を引き離す手法が基本のように思える。
ここでは特に、古いイメージのある遮蔽線を張った配電線を特集がてら紹介している。
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遮蔽線の施設例
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古びた遮蔽線の発見数は、中でも横浜市が断トツ1位で多かった。
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遮蔽線の使用例 その1
横浜市保土ヶ谷区にて発見!
ここでは上部送電線(路線名:保土ヶ谷線 66kV)通過のため、その下を通過する配電線の上部には、いつもは見かけない3条の遮蔽線があるのが見て取れる。
次いでその線が緑に見えるのは、これには裸銅線が使われていることが考えらえる。
長いこと風雨にさらされて銅線が緑青で錆びて緑に変色した結果だと思われる。
ちなみだが、大元の大昔は配電線も裸電線だったため、やむを得ず配電線の下に電話線が併架した場合は、配電線の下に遮蔽線を設けることもあった。
遮蔽線の使用例 その2
横浜市の二俣川駅付近で発見!
こちらも同じく、上部には送電線(路線名:市沢線66kV)が通過しているため、その区間にのみ3条の遮蔽線が張ってある。
そして基本!東電管内では、架空地線や遮蔽線の引き留めには低圧引き留めがいし類は取り付けないのだが
横浜市ではその引き留めに、低圧がいしを入れたものも見つかった。
また、それを取り付けているアームも腕金ではなくアングルを使用しており、かなり古いようだった。
遮蔽線の使用例 その3
ここでは上部の送電線(路線名:保土ヶ谷線 66KV)と並行に並んだり、その下を潜ったりしているため、その配電線上には遮蔽線がびっしりとある。
平行に並んでいるかのように見える写真はこちら!
隣どうしの線をまんべんなく結線させていた。
当時は職人さんが1つ1つ結線させていたのだろうな。
なお、腕金の横幅サイズについては、今主流の高圧用腕金よりも長いから、2500mmぐらいかと思われる。
また、腕金による遮蔽線の支持点については、引き留めクランプとストラップは見当たらなかった。
横浜市では、そういった金具は不使用のものも複数あるようだった。
遮蔽線の使用例・こちらは通信線用(黄色○の内側)
(電話線類は個人的な趣味からするとあまり興味がないが、一応その状況写真をアップ!)
送電線の下を通過する電線が電話線(通信線)であっても、かつてはその下を通る通信線上に!遮蔽線を張っていたようだ。
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一方で東京都内での発見数はかなり少なく、1箇所のみでしか確認できていない。
これでも昔はよくあったのだろうか・・・?謎である。
(同様に埼玉もあまりない。)
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↑東京都内で唯一発見することができたその遮蔽線
一応東京都内にも遮蔽線はあったようだが、発見数は他の地域と比較すると数少ない。
なお、ここで奥に見える矩形鉄塔の送電線は奥戸線66kVであり、撮影地は東京都葛飾区環七通りの葛飾区総合スポーツセンター交差点付近になる。
しかし、最近はこの奥戸線もそこまでは古くはないのだが、何故か最近になり、建て替えが結構進んでいる。
奥戸線については、近年はその周囲にマンションが増えたことが影響しているのか、スマートな四角鉄塔に建て替えられた箇所を多く見かけている。
特に最近では、京成から南下した辺りの地域も建て替えられているのを確認している。慈恵大付近である。(←2018年時点の情報)
そんなぁ・・・これは大正時代程、古い鉄塔ではないのだがなぁ。バランスが悪いのだろうか?
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千葉では比較的新しいものがまだまだ数多く実在!
一部では新設も?
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こうして見ていくと、遮蔽線は他の地域では完全に古いイメージがつきそうだが
千葉は例外で、今でも比較的最近新設されたもので遮蔽線を見かけることがある。>
千葉の遮蔽線は最高5条も!新京葉変電所付近にて発見!
唯、これについては、比較的最近新設されたものが大半であるため、従来使っていた銅線は使わず、架空地線で使っているようなワイヤーが多い。
続いて、遮蔽線が特に多い送電線路名を挙げれば次の通りとなる。
京葉線、東京東線、房総線、北千葉線(その中でも特に房総線下は数多くある。)
この中で今回は、房総線の線下にある遮蔽線を例に挙げてみよう。
房総線は、送電電圧が500kVかつ、原型鉄塔は鉄塔高も低い。
そういったことから、なおさら誘導障害を受けやすいことを懸念したのか、同電線路の線下では、特に配電線がなくても住宅街や畑にまで遮蔽線が張られている光景を確認している。
これについては、送電線の線下に住んでいる人や畑で農作業をしている人に対して、誘導が引き起こらないよう対策が練られているものかと思われた。
また、最近では遮蔽線のほかに、ポールのようなものを建てて、その先端に長い棒状のものを取り付けたもの(正式名称不明)も、無電柱化エリアでは普及している。
それについては、八千代市内で見かけている。
それにしても、遮蔽線を張るよりポールを建てて誘導を吸収してしまうとは!これはまた新技術だ。
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遮蔽線を張る以外に、配電線の位置を通常より引き下げて、誘導障害を対策するタイプもあり!
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誘導障害対策については、遮蔽線を張る他に通常の位置より配電線を低くして、ビリビリ来る誘導障害を緩和するタイプもある。
以下はその2例だ。
ここでは歴史的大正13年(1924年)建設の上越幹線(現:東埼玉線区間)が上部通過のため、高圧配電線はできる限り、高さを引き下げての通過となっている。
水力発電による送電が主流だった水主火従時代の大正期建設の送電塔は、元々背が低いものが多かったから、こういうものがやたらあった。
こちらはやたら低い位置を吉橋線が通過しているため、高圧配電線は少し引き下げた位置を通過!
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