電柱上の年代物パーツを紹介!(5ページ目)
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5ページ目では、東電管内では今となってはレアな耐塩皿がいしを紹介
1960年(昭和35年)〜1982年(昭和57年)頃まで数多くあった耐塩皿がいし
探してみればここまで発見することができ、正直驚いている。幻なんかではない。
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3本のジャンパー線を支持する耐塩皿がいしの例
ここでいう耐塩皿は、赤い線引きが施されているお椀のようなものを示す。
東京都大田区にて撮影
一方こちらも堂々の耐塩皿がいし!!しかも2連!!
東京都墨田区にて撮影
他には、耐塩高圧ピンがいしを使用するものもあったようだ。
東京都大田区に撮影
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耐塩皿(たいえんさら)がいしについて
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耐塩皿は、海に近い場所(塩害地域)での塩害対策のために開発されたものである。
海から吹き付ける塩から普通の高圧ピンがいしを守るために、周りを水抜き穴のあるお椀(耐塩皿)で囲って、汚れががいしにたまらないように守っている。
または、がいしの表面漏れ距離(接地部(電気の流れていない電柱側)と充電部(電気の通っている電線側)との距離)を長くする特性もある。
高圧ピンがいしは昔からある高圧がいしであるが、がいしの中では一番表面漏れ距離が短かった。
そのため、高圧ピンがいしに塩分が付着した状態で、小雨が振ったり霧が発生したりすると、当然付着した塩分が湿り、この時、がいしの絶縁は急激に低下する。
高圧ピンがいしに塩分が付着しないよう、周囲を耐塩皿で囲む。
なお、東京電力管内では、A汚損地域、B汚損地域、C汚損地域と区分があって
(この区分は塩分の付着度合いを表していて、内陸へ行けば行く程、そのがいしに対する塩分の付着度が違うということだ。)
海から10数キロ以上離れた箇所でも、季節風や台風によって、遠方から運ばれてくる塩分を含んだ風対策として、耐塩皿を追加していた。
また、耐塩皿については、普通の高圧ピンがいしの他に耐塩ピンがいしに耐塩皿を追加する場合もあった。
これについては塩害の強度が凄まじい地域を中心に普及していたようである。
もしくは長期無保守を目的とした地域でも採用されていたのだった。
そうなると、がいしで支持している電線からは火花放電を起こす。
配電線については、昭和30年代以降からは、被覆のある絶縁電線の使用が開始されたが、時としてその被覆が劣化して部分的に破けることもあるから、安全面で耐塩皿を高圧ピンがいしに取り付けていたのだった。
耐塩皿の使用例
特に昭和20年代頃までは、配電線でも普通に被覆のない裸電線を使っていたから、塩害は甚だしかったようだ。
なお、その後の昭和50年頃からは、今度は耐塩皿がいしよりも表面漏れ距離の長くなった10号中実がいしが登場したため、現在、東京電力管内の耐塩皿がいしは廃止となっている。
ちなみにお隣の中部電力管内の配電柱では、高圧配電線の引き通しには10号中実がいしを使用しているが
海により近い地域では万が一に備えてか、10号中実がいしに10号中実がいし用耐塩皿を追加して、より表面漏れ距離を長くしている。
なお、これについては、長野県内を通る高速道路沿いでも確認できる。
そこでは主に、排ガスによる汚損対策をしているようである。
中部電力管内のより海に近い場所で使われている耐塩皿がいしの例
中部電力の耐塩皿がいしは、耐雷ホーン付きで豪華である。
一方
同管内では茶色の耐塩皿がいしもある!
しかし個人的にはやはり、耐塩皿がいしの構成は、旧来の普通の高圧ピンがいしに耐塩皿が追加された初代物が好みである。
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ここからは、東京電力管内で昔普及していた耐塩皿がいしを再現!
そうだ!これについてももう持っている。w
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耐塩皿についてはやはり、オークションなどで植木鉢として並んでいることがある。
↑底面には丁度、4つの水抜き穴がある。
しかし私はそんな植木鉢としては使用したくない。そこはちゃんとした植木鉢を選ぶ。w
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ここで、メインで使われていた耐塩皿がいしのまとめをアップ!↓
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東電管内でかつて使われていた耐塩皿がいしの種類は以下の種類である。
冒頭で少し述べたが、2種類は軽塩害用、重塩害用もしくは長期無保守を目的とした地域で、それぞれ使い分けがされていたようだ。
+ →
軽塩害地区、もしくは重塩害地区でも登場初期の頃に使われていた基本構成の耐塩皿がいしの例
(普通の高圧ピンがいし+耐塩皿)
+ →
重塩害地区、もしくは長期無保守を目的とした地域で使われていた構成の耐塩皿がいしの例
(耐塩ピンがいし+耐塩皿)
こちらはその後の耐塩ピンがいしが登場した1967年頃より登場!
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なお、このうち東京都内で発見できた耐塩皿がいしの多くは、普通の高圧ピンがいしに耐塩皿が追加された基本構成の耐塩皿がいしが大半だった。
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変圧器への引き下げ線支持では、縦付けされた箇所のみ耐塩皿がいしを使用
横付けされた4か所は、雨水による洗浄効果が期待できないため、追加されない。
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さらには、現役黄金時代は!
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冒頭で少し述べたが、耐塩皿がいしはかつて高圧配電線の引き通し箇所でも使われていた。
かつては私の近所の配電柱もそうだったようで写真が残っている。
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上記写真は、耐塩皿がいしが現役バリバリだった頃の写真である。
撮影時期は昭和37年頃のようである。
東京都足立区もかつては耐塩皿がいしが使われていたようだ。
次いで柱上変圧器も右側はかなり古いようで、黒塗り仕様のようだ。
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撮影地:千葉県木更津市
耐塩皿がいしが均等に2:1に配置されているものにて!
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耐塩皿がいし引き通しのタイプ その1(既に現存せず)
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撮影地:埼玉県草加市
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耐塩皿がいし引き通しのタイプ その2
ここでは内陸の埼玉県草加市にて!耐塩ピンがいしに耐塩皿を追加した仕様の耐塩皿がいしによる引き通しを工場内で発見!
恐らくここでは、工場の排煙による汚損対策として取り付けられたものかと考えられた。
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撮影地:神奈川県横須賀市
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上と似たものを老舗電柱ブログに掲載!
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撮影地:埼玉県川口市
こちらは不均等に2:1に耐塩皿がいしを配置
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耐塩皿がいし引き通しのタイプ その3
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撮影地:東京都江東区
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耐塩皿がいし引き通しのタイプ その4
こちらは珍しい木製電柱で耐塩皿がいし引き通し
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撮影地:神奈川県川崎市
廃止済みのものであるが、ここでは耐塩皿がいしを3:0に配置
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耐塩皿がいし引き通しのタイプ その5(既に現存せず)
耐塩皿がいしの配置についてだが、ここではあまり見慣れない3:0での発見となった!
しかし今は・・・
綺麗さっぱりなくなった。
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撮影地:神奈川県横須賀市
こちらは耐塩皿がいしが2連!
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耐塩皿がいしが2連続で引き通し!
2連もそう今では簡単には見かけない。
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撮影地:静岡県富士市
一方こちらは、富士川を横断した後にある静岡県西部(東電の供給エリア外)での発見となったが、折角だから掲載!
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耐塩皿がいし引き通しのタイプ(中部電力仕様!)
こちらは東海道新幹線を東京方面から富士川を渡った直後に一瞬見えるものである。
浄水場の構内用配電線のようだった
見ると設備はかなり古いから、その浄水場は結構古くからあるように見られた。
なお、そこでは東海道新幹線の橋桁の直前で引き下げているものも見えたから
恐らくそれは東海道新幹線ができた頃に施設されたのかと考えられた
また、耐塩皿がいしの構成についてであるが、構内用といえども東電の供給エリアにあるものとは種類が違うのが見て取れた。
これは昔、中部電力で昔使われていた耐塩皿がいしの構成であろう。
こうして構内用配電設備は、電力会社の配電線をお手本にした箇所もあったみたいだ。
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↑東京方面から富士川横断直後の東海道新幹線わきにあるw
古くからありそうな浄水場の構内線にて!
東電の供給エリアでは全く見慣れぬ構成の耐塩皿がいし発見!!w
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一方上記のすぐ近くでは、東電管内の供給エリアでは全く見かけることがないダブルヒダ仕様の耐塩ピンがいし引き通しも発見
この種の耐塩ピンがいしは、東電の供給エリアでは、工場の構内用引き込み線支持で一回だけ見かけたぐらいである。
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ダブルヒダ付きの耐塩ピンがいし
東海道新幹線から少し離れた付近では、静岡の構内用配電線路で見かけることが多い、ダブルヒダ仕様の耐塩ピンがいしも確認できた。
東電管内では全く普及しているようには見えないが、静岡での発見が多いから、これは中部電力で普及していたように見受けられた。
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↑浄水場の耐塩皿がいしの他には
東電の供給エリアでは全く見慣れぬ不思議な耐塩ピンがいしも
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撮影地:神奈川県藤沢市
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耐塩皿がいし引き通しのタイプ その6
こちらは耐塩皿が破損したのだろうか、高圧ピンがいしのみのものも発見
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↑何故にここは耐塩皿がいしと並んで普通の高ピンも!?
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撮影地:神奈川県横浜市中区
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木柱で!!耐塩皿がいし引き通しのタイプ(現存せず。)
こちらは近代的なマンションの横にて発見!
今では滅多に見ることはできないであろう、支持物に木柱を使ったもので耐塩皿がいし引き通しを発見!
しかし安全上と老朽化のためか、耐塩皿がいしのあった木柱区間は、現在、全て除却されている。
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撮影地:神奈川県大和市
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耐塩皿がいし引き通しのタイプ その7
こちらはまたやり出しで発見!
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撮影地:東京都墨田区
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耐塩皿がいし引き通しのタイプ その8
とある小学校の構内線が未だに古い。→
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やり出しによるショートで耐塩皿がいしの引き通しとは
これは正に、昭和のドラマで下町の狭い路地でよく見えたもんだ
(↑大都会にてw)
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撮影地:神奈川県横浜市中区
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耐塩皿がいし引き通しのタイプ その9
こちらはなんと、構内用高圧配電線の引き通しとして、2連耐塩皿がいしを使ったものや耐塩ピンがいしとの混合タイプを発見
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撮影地:千葉県柏市
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耐塩皿がいし引き通しのタイプ その10
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高圧耐張がいしごと残る耐塩皿がいし
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最後に!
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スノータウンイエティ付近の2回線の耐塩皿がいし引き通し(構内用配電設備)ももちろん知っているが、ここは有料道路であるため、撮影を行うには車と運転手が必要である。
なお、今では普通にストリートビューでも見えるようになっているが、それまではどこにこれがあるのか全く検討も付かなかったのだ。
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この通り、耐塩皿がいしによる2回線引き通しがここにもある。
架空地線付きであった。
他には東電のそっくりさんのクランプがいし引き通しの他、旧式の高圧ピンがいし、10号中実がいしによる旧型の引き通しなど、色々なものが残っているが、それらも全て、有料道路内に突っ立っている。
↑支持物がパンザーマストによる2回線ピンがいし引き通し
↑ここでは東電のそっくりさんの配電設備が写真中央から左端へと写っているが
よく見てみれば、変圧器の種類や高圧カットアウトがいつもとは違うので一目瞭然であった。
すぐに構内用の配電設備であることの見分けがついたのだった。
ここも通りすがりで撮った。必死だった。無料化してくれ
東電の設備でない見分けはここでも一瞬でつく。w
クランプがいしによる2回線は何処でも見れるが(上の構成は千葉で見られそう。)
変圧器の種類とその変台の構成は違っているので、一瞬で見分けができる。
後はこの近くにある裾野市立富士山資料館に立ち寄るのもいいだろう。
ここは富士山資料館のはずだが、なんと中には電気関連の展示コーナーも一部あり、戦前〜昭和30年代の配電用がいし(高圧がいし、低圧がいし)を見ることができる。(2015年現在)
中にはあの希少な白色のがいし型開閉器(ダルマスイッチ)の展示まであり、驚いた。
そうだな〜これは確かに昭和30年代に一時期普及していたものである。
ちなみにそれ以前は!茶色やねずみ色のダルマスイッチも普及していたのでお忘れなく!w
(ねずみ色のダルマスイッチは、日本ガイシ製に限る。)
後は、大きな古民家でたまに見かける(今だと、店舗で帽子掛けとしてこれが置いてあることもある。w)屋内配線支持用の大型のノップがいしまであった。
(↑うちのコレクションw)
白のがいし型開閉器については、メーカー不揃い品であるが、私もコレクションとして所有w
白より古い茶色も持ってるぜい!w恐らくそれは戦前製!
たたえよう!題して、「がいしフィーバー!」wwww
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